長門守の陰謀 (文春文庫)
長門守の陰謀 (文春文庫) / 感想・レビュー
kei302
海坂藩城下町 第7回読書の集い「冬」◆書名は「長門守の陰謀」と何やら物騒ですが、女性の目線からの作品が5作中3作、男を手玉に取る女が1作と、全体的に柔らかい印象。意外な活躍を見せる夫を描いた一話目の『夢ぞ見し』、昌江の気持ちのありようが変わっていくのが心地よかった。前妻の子を置いてゆけないおりんさんの話も良かった。この本、タイトルと表紙で読者を逃しているような気がする。読んだのは1983年の文春文庫版。解説は関口苑生氏。『暗殺の年譜』を読んでおくべしとのこと。読んでないけど。
2022/01/18
s-kozy
うまいなぁ。こういうのを手練れの技と言うんでしょうね。解説によれば「歴史もの、士道もの、そして人情ものが一冊で楽しめる」短編集。どれにも「らしさ」が現れているのが作者のうまさだと思うが、特に「夢ぞ見し」がよかったかなぁ。「遠い少女」の読後感の怖さもいい。P.142にある「やりようによっては、こんなふうでない四十五の自分だってあり得た」という鶴蔵の感慨に共感してしまった。
2013/05/17
matsu04
お家騒動モノ、下町人情モノなど短編5つ(再読)。どちらかと言うと暗くて後味の悪い話が多いのだが、「夢ぞ見し」などは鳥肌立つほどの面白さである。あとがきも藤沢周平らしくて良い。
2016/06/05
モトラッド
[再読]★★★★ 全五篇の短篇を収録。解説は、史実を元にした歴史小説である、表題作『長門守の陰謀』を主として論じている。しかし(ジャンル分けすると)市井小説に当たる『夕べの光』『遠い少女』は、解説では格別に解説を必要とするものではない、としているが、どうしてどうして、藤沢文学の魅力を存分に湛えていて、実に味わい深い読後感を味わえる。藤沢作品ファンならずとも、心よりお勧めできる佳作と思う。また『夢ぞ見し』は、武家ものだが、ここで描かれる小藩の争いにも、長門守一件の史実が影を落としているのが、とても興味深い。
2019/03/03
Lara
短編全5作の文庫本。最初の4作は、市井の色恋ものの話で、ほろりとさせられたり、考えさせられたり。が、最後の表題作は、がらりと変わり、とある藩のお家騒動。登場人物も長い名前になり、いきなり固い言葉使いとなった。なぜ一冊の文庫本にまとめられたのか、不思議に思いました。
2019/06/08
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