KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

逆軍の旗 (文春文庫)

逆軍の旗 (文春文庫)

逆軍の旗 (文春文庫)

作家
藤沢周平
出版社
文藝春秋
発売日
1985-03-09
ISBN
9784167192112
amazonで購入する

逆軍の旗 (文春文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

歴史的事実に基づいて書かれた藤沢周平にしてはやや珍しい本格歴史小説集。4つの短篇を収録する。表題作は本能寺で叛旗を翻した明智光秀と信長との確執を光秀の側から描く、鬼気迫る壮絶な作品。これまであまり歴史小説を読んでこなかったので、ここで描かれる光秀像の特異さについては何とも言えないが、おそらくは他に類を見ないものではないか。また、4篇はそれぞれに違った意味で優れた作品だが、いずれも他の藤沢作品には見られない趣きのものである。4篇とも推したいが、私の好みからしいていえば「上意改まる」か。藤沢ファンには強推薦!

2021/05/20

糜竺(びじく)

私にとって初めての藤沢周平作品です。実話に基づく4話の作品が収録されていました。特に本能寺の変の時期を描いた明智光秀が主人公の話「逆軍の旗」、財政破綻寸前の米沢15万石の藩主になった上杉鷹山の前半生を描いた「幻にあらず」は良かったです。「幻にあらず」ですが、主人公は後の時代には江戸時代屈指の名君と言われる人物ですが、藩を建て直す為の改革は全然一筋縄ではいかなかった事が伝わってきました。様々な抵抗や、人間の心の奥底にある弱さなど、藤沢周平氏が見事に描き出していました。また、藤沢作品を読んでみたいです。

2017/08/12

佐島楓

史実をベースにした短編四編。鮮やかに目の前に立ちあがってくる当時の人々の迫力は、その筆力のゆえ。しかしこれほどまでに人命軽視だった時代も戦時以外にあったということを忘れてはならないだろう。時折物語に絡んでくる女性が艶やか。

2015/03/19

Tanaka9999

1976(昭和51)年発行、青樹社の単行本。(別バージョンで登録)4編。あとがき有。『逆軍の旗』本能寺の変モノ。通俗的な筋に沿って書かれていて、なんか固い。『幻にあらず』米沢藩の藩政立て直し。これも通俗的といえば通俗的かな。立て直しに奔走していた家臣が疲れを感じるところはこの人らしいか。『上意改まる』権力闘争モノ。史実はあるのだろうか。反撃される前に完全にやっつけないと死に至る可能性があるので恐ろしいかも。『二人の失踪人』唯一の市井もの。最後に主人公の兄が記録にないと書いていて、そちらへの想像が膨らむ。

2021/04/27

シュラフ

藤沢周平の歴史もの短編4作品。『逆軍の旗』は本能寺の変における明智光秀、『幻にあらず』は米沢藩を改革した名君・上杉治憲、がそれぞれの主人公である。多くの作品で取り上げられているテーマなので、他の小説家と比べての藤沢周平の小説技法は興味深い。解説の言葉を借りれば、抑制されていて、無駄がない。透明度が高い。しかも、不思議な柔らかさをもつ。そんな文章である。物事の本質を理解するためには、とにかく客観的な眼をもつことである。藤沢周平の感情移入を排したような文章が、歴史を理解するのには適しているのかもしれない。

2014/07/04

感想・レビューをもっと見る