未刊行初期短篇 無用の隠密 (文春文庫 ふ 1-44)
未刊行初期短篇 無用の隠密 (文春文庫 ふ 1-44) / 感想・レビュー
じいじ
小説家として遅咲きの藤沢周平さん。直木賞受賞作『暗殺の年輪』は1973年(昭和48)で46歳のときである。そして今作の15短篇は、昭和18年に作家デビューする以前に書かれた作品だが、彼の死後に発見されたものである。それぞれ出だしの情況・情景描写は、のちの時代小説の名手・藤沢周平を予感させる味わいのある作品である。私のお気に入りは、表題作の【無用の隠密】【木曾の旅人】【佐賀屋喜八】【浮世絵師】だが、藤沢ファンなら是非一読したい一冊である。
2024/08/26
saga
文壇でメジャーになる前の未刊行作品集。著者の故郷である山形県=出羽国に材をとった作品が多かった。そして、解説で触れられているが、私生活では職業作家になるために努力している最中に、最愛の妻を病で亡くすという不幸に見舞われた時期の作品でもある。そのせいかどうか、「空蝉の女」や「待っている」など、やるせない結末が多いように感じた。
2021/06/09
優希
藤沢さんのデビュー前の短編集が読めるのは楽しいです。様々な読み味が詰まっているんですね。初期の哀切さや男女の機微の描き方は流石だなと思います。興味深く読むことができました。
2023/02/25
優希
藤沢周平の未刊行の初期短編集が読めるだけでも感動してしまいます。作家デビュー前に書かれた作品ですが、流石藤沢周平と思わされました。初期の頃から人間の悲哀や男女の機微の描き方が上手かったんですね。興味深く読むことができました。しっとりとした話も多く、読んでいて面白かったです。中に1編だけエジプトを舞台にした作品がありましたが、おそらく唯一の外国を舞台にした作品でしょうね。こうしてデビュー前の幻の作品が読めるのもまたいいですね。今の時代小説にはないじんわりとくるものがあります。
2014/09/09
AICHAN
Book-Off本。前に読んだ『藤沢周平未刊行初期短編』と収録作品がほぼ同じのようだった。デビュー前の短編15編。デビューしてからの藤沢作品の元になったと思われる作品があったりした。キラリと光る作品もちらほら見られた。ただ、全体に導入部が弱く、読み進めさせる力に欠けていた。また、感情移入できにくい作品が多かった。人物描写がまだ稚拙だったためと思われる。図書館に寄贈。
2019/08/22
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