地の漂流者たち (文春文庫 209-3)
地の漂流者たち (文春文庫 209-3) / 感想・レビュー
遥かなる想い
このころの沢木耕太郎はよい。自ら動いて取材し、書くという行為が 文体から伝わってくる気がする。
2010/05/08
常磐条
高度経済成長の高揚の影に、世の歪みが軋みをあげる1970年代初頭。時代の闇から這い出ようとする人々を追い、文章はつづいていく。中でも、富士電機、新日鉄、東芝などに象徴される公害都市・川崎に集う労働者のルポは力強かった。僕たちはその後の歴史の行方を知ってはいるが、この本に切り取られた人生のワンシーンのその後に待ち受けていた景色を知ることはない。そして未だこの国は、彼ら無数の“名もなき者たち”の怨念に縛り続けられているのではないかと思ってしまう。そして僕自身はどこへ流れてゆくのかと……。
2015/12/26
ポン
『防人のブルース』 最近、沢木さんが若い頃に書かれたものを読み返してます。沢木さんの取材に対する熱意と洞察を感じ、自分の毎日にもはりが出るような気がします。
2019/12/09
TCD NOK
沢木耕太郎といえば深夜特急。この本に影響され、休学してヨーロッパ、アフリカを放浪した友人もいた。そいつから、読むべきだとしきりに勧められ、自分も世界を放浪したいという気持ちはあったんだけど、踏み切れなく、そして深夜特急も手にとれなかった。読んでしまったら、友人への羨みと自分への後悔が溢れ出てしまいそうで。なので、沢木耕太郎の別の著書ということで買っていた本。生きにくさを感じながらも生きている人達のルポ。深夜特急を未だに読んでいないけど、読んだら後悔が更に加わることで生きにくくなるのかな。
2019/11/26
tora
全体に若書きという印象がいなめないルポルタージュ。しかしそれはそれで、現在との対比がおもしろくもある、「戦後」を色こく引きずった時代の記録なのだと思います。
2013/06/10
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