勇魚 上 (文春文庫 ニ 1-1)
勇魚 上 (文春文庫 ニ 1-1) / 感想・レビュー
AICHAN
図書館本。『巨鯨の海』を読んで、また読みたくなり借りた。C・W・ニコルさんが紀州・太地に1年間滞在して実際に鯨漁を体験してまとめ上げた鯨漁と幕末の日本の物語。体験しただけあって漁の描写はすさまじいまでに迫真的だ(もっとも作品中の漁は江戸時代のもの。ニコルさんが体験したのは近代漁法だろう。昔の漁法は聞き取りで知り得たのに違いない)。プラス、吉田松蔭は出る、佐久間象山は出る、勝海舟も出るで、実にスケールの大きな作品。訳がまたいい。実にうまく訳している。鯨漁、幕末に興味のある人にはぜひ薦めたい作品だ。
2017/11/23
けいご
約200年の鎖国によって培われた日本文化が阿片戦争勃発を皮切りに侍の魂である刀が無力である事を悟った定頼達、そして鎖国によって生まれた世界への偏見を持った幕府。その荒波の中に放り込まれた片腕鯨漁師甚助は徐々に世界を知っていく。知るものと知らざるものが織りなす世界には微かに文明開花の音が既に聞こえ始めている...。甚助を取り巻く環境はこの後どうなっていくのだろうか?気になってしょうがないので下巻へレッツゴー★
2021/03/20
ちくわ
幕末の日本と和歌山県の太地町が舞台となる物語です。捕鯨の筆頭刃刺が期待されていた青年甚助は、鯨漁の最中に鮫から襲われ腕を失います。絶望の淵に立たされた甚助を想った紀伊藩の武士、松平定頼が甚助を江戸から沖縄へ向かわせたことで、薩摩藩に追われる身となりますが、上巻はハンディーキャップをものともせず、困難に立ち向かう勇敢な青年を描いた作品となっています。
2016/12/31
なつみかん
最近読んだ〝戦場のコックたち〟が作者が日本人にして大戦時の欧米の様子の書き込み方がよくできてると驚いたのだけど、思い起こせば30年も前に、ウェールズ人にして幕末の日本と捕鯨のディテールの細やかさに感動したのだった。再々々〜読開始❣️
2019/06/02
daimonn
表紙の鯨の絵がすごく印象的。外国人から見た日本の文化や日本人の価値観の表し方は、内側からしか見たことないものを外から見たような感覚になって新鮮だった。しっかり読み応えのある壮大な物語。古本屋さんでたまたま目に付いた作品だったけど、大当たり!
2014/12/08
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