ホワイト・ジャズ (文春文庫 エ 4-6)
ホワイト・ジャズ (文春文庫 エ 4-6) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
コレぞまさしく‘ノワール’の最高峰ともいえる作品です。あの『不夜城』を書き上げた馳星周さんが絶賛し、多大なる影響を受けたJ・エルロイ氏のヒリヒリ感全開な雰囲気はタダモノではありませんでした。話の展開、キャラの特性云々よりもこの作品が醸し出す、ダークな世界は他ではなかなかお目にかかることはできないです。この作品を読んでしまうとあらゆる‘暗黒小説’というジャンルの作品が、いかに本作の影響を受けたかわかると思います。残念ながら3部作といわれる他の作品まで読めていないのですが、ホンモノのノワールを是非堪能あれ!
藤月はな(灯れ松明の火)
汚職、警官による殺人は当たり前。金とドラッグと女、暴力が渦巻くLAでボクシングの八百長疑惑のガサ入れで全てを記憶している男を消してしまったことがきっかけに転落していく悪徳刑事。妹、メグとの近親相姦的視点になりつつも畜生道に陥らないように他の女を抱き、そこにいる安堵感から愛を見出す。限りなく、人から糾弾される悪に近い行為を行いながらも自分なりの筋は通す様は彼にとっては救いとなったのだろうか。/で分断される事象、思考と現実を繋げる=文体に眩暈を起こしそうになりながら読了。LA4部作、他の作品も読まなきゃ。
2015/11/30
背古巣
以前挫折して再挑戦。長い(600ページ越)!訳者は原作の雰囲気を損なわないようにと一生懸命作業されて、こういうう文章になったのでしょうけど・・・読みづらい!主人公目線で事実のみが淡々と語られていく。登場人物が多くて、相関関係や役割がさっぱりわからない。悪徳刑事の主人公が、担当になった事件がらみでいろいろ立ち回る中で大きな闇が浮かんでくるという内容?絶対に悪だというやつはわかるけどこいつは善だというのがいない。登場人物すべてが多かれ少なかれ悪なのではないかと思う。シリーズものらしいけど他はいいかな。
2017/06/19
秋良
二回めなのに話を追っていくのが大変。弁護士兼おまわり兼殺し屋のデイヴィッド。正義のヒーローでも善人でもない彼が、女のために足掻くのにゾクゾクする。けど、エルロイ作品は男どもが最後はそれなりに結託して真実に迫るところにカタルシスがあるので、デイヴィッド単体の今作はそれが物足りない(エドとは対等でないし)。次のアンダーワールドUSAはちょっと政治色が濃くなるのでやっぱりLA四部作の方が好き。
2020/08/13
Yuji
LA四部作のラスト。前回しぶとく生き延びたDSと決着をつけるのだろうと思っていたが、語り手刑事の一人称が全然終わらない。エクスリ―視点が出てこないなあと心配してたら、なんと最後まで語り手刑事視点のみ。スピーディ・当事者の迫力、異様な文体が生み出す混乱と眩暈の効果。「LAコンフィデンシャル」はそれでも正義の実現という意味があったが、今回は、正義とかそんな意味ほぼなくて、ただひらすら生存競争。「LA」と「ホワイトジャズ」の中間ぐらいが理想かとも思えるが。今作の異様さも捨てがたいって感じです。
2016/09/19
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