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愛という字 (文春文庫 む 1-12)

愛という字 (文春文庫 む 1-12)

愛という字 (文春文庫 む 1-12)

作家
向田邦子
出版社
文藝春秋
発売日
1996-09-10
ISBN
9784167277123
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愛という字 (文春文庫 む 1-12) / 感想・レビュー

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masa@レビューお休み中

これはテレビドラマだ。文字で表現された小説という形態にも関わらず、色鮮やかに映像が浮かんで、主人公たちが動き出すのだ。互いに隠し事をしている母娘とその男たちの喧噪と愛情のやりとり。息子が建てた新築の家に越してきた母と家族の一悶着の様子。紛失したはずの時計を見つけてしまい、知らないはずの男を追いかけてしまう女の奇妙な出会い。どこにでもありそうで、けれどもどこか浮世離れしていて、だからこそ愛というものの本質というか、真実が見えてくる。そんな魅力に包まれた家族の愛の物語である。

2016/03/19

優希

面白かったです。心の機微と襞が繊細なタッチで描かれており、昭和の日常が鮮やかに浮かび上がってきました。ちょっとほろ苦いながらも絆があるあたたかさが伝わってきます。日常の何気ない一コマをすくい上げ、ユーモアのある雰囲気で演出する空気が好きだなと思いました。文字で描かれた世界なのに鮮明にドラマが浮かび上がるようです。

2016/10/08

じいじ

中編3つ。どれもその時代を反映した作品なのだが、いやという程老人の男心をくすぐって、今読んでも面白いです。【びっくり箱】内容的には、ところどころで合点がいかない箇所がありましたが、胸にじんと来る母子家族の話です。母から「夫選びは〈情〉に溺れてはダメよ」…と東京の娘へよこす手紙は胸に響きます。表題作は、結婚して18年の主婦に訪れる一時の「恋」の物語。ダサい夫にはない、魅力をもつ男に淡い想いを抱きます。途中、私が期待した筋書きとは違った方向に進みましたが、なかなか面白かった。

2022/05/01

けぴ

真面目な母と娘のおかしな恋愛を描く「びっくり箱」戦争に行く前に母親に宛てて書いた遺書がひょんな所から出てくる「母上様・赤沢良雄」盗まれた時計をきっかけに不倫になりそうになる二人を描く「愛という字」の3作。良い意味で昭和を感じました。

2022/04/17

エドワード

母もきまじめなら娘もきまじめ。わけあり男に惚れた似た者同志の「びっくり箱」。「ヒモが締めてりゃ、帯だってヒモだよ」「お母ちゃん、お嫁さんになる前に、おばあちゃんになっちまった」のセリフがいい。「母上様・赤澤良雄」は、特攻隊に行かず終いの息子の遺書が出てきた話。こんなの読まれちゃ、かなわない。実直な夫と正反対な画家と出会ってしまった妻の物語「愛という字」。直子の揺れる心が切ないが、何も起こらないのが向田ドラマ。「我慢するのも月給のうちかしらねえ」が昭和らしくて…。そういえば最近、葬式帰りに塩をまかないな。

2014/03/06

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