冬の運動会 (文春文庫 む 1-15)
冬の運動会 (文春文庫 む 1-15) / 感想・レビュー
凛雪
初よみの作家さん。この方の文章に込められた不思議な力は一体何なのだろう⁇冒頭からまるでドラマを観ているような感覚に陥り、脳内で映像として流れていくようにスラスラと読み終えました。自分にとって居心地のよい「存在」や「場所」、「家族」とは一体何なのか‥。それぞれが胸に秘められた枯れた心を抱いてただその一瞬の「幸せ」を求めて人生を奔走していく季節外れの運動会‥。その長い長い冬の運動会のゴールの先にはきっと暖かい春が待っていてくれるだろう‥。
2014/05/09
優希
人の本性と家族について描いた名作だと思います。バラバラになりそうな家族をあり方を考えさせられました。
2021/05/10
乱読亭AKIRA@晴釣雨読🎣
再読。何気ない家族ドラマから家族の在り方について深く考えさせられる作品。向田邦子の脚本を別の作家が小説化したとのことで、脚本が原作なだけに、ほとんどの文章が会話となってます。その会話のやりとりが、いかにも昭和な感じが出ていて、読んでいて落ち着きました。昭和を知らない私のような世代の人に特に読んで欲しい一冊です。最後の「お互いに見せ合った恥の分だけ、いたわりと温かみが生まれたんじゃあないか。」の一文に家族の在り方の本質が詰め込まれてると思いました。
2021/09/07
ken_sakura
とても良かった♪( ´▽`)解説より、テレビドラマは黒澤映画の常連、志村喬、木村功。新劇界の大御所、加藤治子、大滝秀治、赤木春恵、市村悦子。新米はいしだあゆみ、根津甚八、藤田弓子。リハーサルの初日、皆が静かに年若い向田邦子の脚本を待つ。届いた脚本のコピーを皆が読んで沈黙、志村喬が唸り、加藤治子が息をつく、木村功が「すごいね」とぽつり。その日その後のリハーサルは皆生彩無し、とのこと。打ちのめされる気がする行間。鞘のある良く切れる刃物みたいな物語。鞘の無い良く切れる刃物みたいな有吉佐和子の物語を思い出す
2019/02/17
マッピー
大学3年の菊男は、元軍人で謹厳実直な祖父と、エリートサラリーマンの父、上流家庭出身の母、そして妹の5人暮らし。菊男の家は、男性陣がそれぞれに家に対して屈託を抱えている。今は、たとえ家族に対しても無理して自分を殺すことはない、そんな家ならさっさと家を出てしまえ、と言うところだろうけれど、そこは向田邦子、イライラしながらも家族は家族。簡単に切り捨てることはできない。時代を経ても変わらない人間の本質と家族の姿を鋭く描いた作品。さすが向田邦子と思いました。面白くて一気読みです。
2019/11/14
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