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新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22)

新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22)

新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22)

作家
向田邦子
出版社
文藝春秋
発売日
2010-11-10
ISBN
9784167277222
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新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

『思い出トランプ』以来、向田さんの作品は2作目になりますが、やはり女流作家さんの先がけともいえる方で、文章の読みやすさ、流れ、透き通るような美しさは時の流れを全く感じさせません。三浦綾子さんや未読ですが山崎豊子さんなど、時代は違えど偉大な女流作家さんはやはり、男性作家さんにはない静かな色気や‘優しさ’が滲み溢れているような気がします。こういった偉大なる先輩方々の活躍や作品が語り継がれることにより「よしもとばなな」さんや「小池真理子」さんら、現代も一線で活躍される作家さんの活躍が継承されているのでしょうね。

2015/11/23

masa@レビューお休み中

テレビの短編ドラマを一気に見たかのような勢いがある。なぜ、こんなにも向田邦子の文章というのは熱いのだろうか。知らない人、知らない世界なのに、まるで隣人に起きた出来事のように身近に感じてしまうのだ。主婦のサチ子がスナックのママが住む隣室の音を気にしたり、お互いいがみ合っているかのように思えた姉妹が、ふとした瞬間に絆を強めたりしてしまう。決して楽しいと思える出来事ではないし、むしろゾクッとするような背筋の寒さを感じるのに、嫌な気持ちにはならないんですよね。それどころか、もっと読みたいすら思わされるのです。

2016/03/14

とん大西

読了後の静かな溜め息は、安堵のような愁いのような。向田作品を読むとその二つがない交ぜとなった余韻が残ります。セピアがかった昭和を淡々と映す四つの短篇。平凡な主婦、背負いこむ女、働き盛りの男…。一見、地味なようで、行間に滲み出てくる人情の機微が小粋過ぎてたまりません。表題作「隣の女」の恋慕も味がありましたが、最後の「春が来た」のもどかしさが絶妙。直子、風見、直子の家族-多くを語らないそれぞれの胸の裡。少し暗めの電灯が照らす小さな茶の間。控え目な笑顔、無邪気な微笑、握りしめていた迷い…いやぁ、やはり絶妙です。

2020/03/22

優希

面白かったです。家族の物語の中にある生のあり方が丁寧に描かれていました。平凡な生活の中にある女性の哀しみがしみじみと染み渡ります。心の奥に哀しみを忍ばせているような切なさを感じるのです。嘆きもせず、悲観もせずに生きることのままならなさを丁寧に描いている。それは人生を受け入れているような印象でした。日常にそっと寄り添っているような雰囲気が心にスッと入ってきます。

2016/10/18

うりぼう

あざやかな本。ホントにうまいと思ってしまう。ミシンの音。脇の匂い。目玉焼きの黄味。下駄の音。化粧品。なにげない物が、そのシチュエーションに応じて変化し、心を映す。谷川岳に上る人、麓まで行く人。あえて留まる人。心をむき出しにする人。彼岸へ飛ぶ人、引き返す人。様々な人間模様の中の全ての登場人物に等しく愛情を注ぐ向田さんの眼差しを感じる。女性の強さをつくづくと感じ、どこかで腑抜けた男が流れるままに身を任せるが、その無理のなさに女が惹かれ、桃太郎は虚ろに思う。誰かのためでなく、自分のため生きている手応えが欲しい。

2011/02/03

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