街の観覧車 (文春文庫 278-6)
街の観覧車 (文春文庫 278-6) / 感想・レビュー
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街を見下ろす観覧車の近くに住む10人の男女を主人公にした、10篇の連作短編集。 10篇の主人公のそれぞれが、ご近所さんということもあり、10の短編は、それぞれの登場人物が微妙にリンクした作品集になっています。 阿刀田高作品に特有の、ブラック・ユーモア感は影を潜め、男女かんけのもつれから生まれる犯罪を描いた、割と正統派のサスペンス、ミステリー小説集になっています。 怪談めいた作品もいくつかありましたが、収録作の中でも「雲どり模様」は、妖しく美しい世界を描いた名品だといえるでしょう。
2020/02/04
まっと
久々の阿刀田高その2。短編集でありながら長編のような一冊。一つ一つの話の中で次の話の主要登場人物がちょっとした脇役として登場し、まさに観覧車のように回っている。この仕掛けに途中で気づき思わず読み返してしまったが、個々の話の面白さ、日常と非日常が交錯する展開、伏線回収のスピードに引込まれつつ、こうした「探し物」趣向も楽しめた。お気に入りは最初の「うすあかり」と、「小麦色の王妃」「雨を待つ女」かな。
2022/05/27
KAZOO
これも、非常にレベルの高い作品で、観覧車の見える町での出来事が収められたある意味での連作短編集です。一読するとあまり関係なさそうな話が何かでつながっているということです。そんなに怖いという感じではないのですが、男と女の絡みが多い作品集です。
2014/05/13
シルク
再読。殺人系の話が多い中で、「拗ねた血」はちょっと異色。そのせいか他の作品はストーリーを忘れていたが、これだけはオチをよく覚えていた。
2021/09/21
MIKETOM
全十編の短編集。この本には面白い趣向が隠されていて、前の話にちょこっと出てきた人物が次の話の主人公になっている。これが順繰りに回っていく。その人物を探しながら読む楽しみも同時に味わえることになっている。30年以上前の本にも関わらず内容は古くない。ミステリー+男女のあれこれが描かれているが、どっちも読み応えあり。阿刀田は手練の作家だと思う。アイディア、構成、オチ、登場人物の背景にある人間そのもののあれこれを表現するのがうまい。例えプロットが平凡でも背景で読ませる。やっぱ俺のNO.1作家だね。
2015/12/15
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