夜の旅人 (文春文庫 あ 2-7)
夜の旅人 (文春文庫 あ 2-7) / 感想・レビュー
KAZOO
はじめての長編だったそうです。「ナポレオン狂」で直木賞を受賞していますが、そのモデルがいたそうで、その生涯を描いたがものがこの長編ドキュメンタリー小説といっていいのかもしれませんが、その主人公です。ほとんど登場する皆さんが実名で書かれています。その主人公の生涯は本当に小説より奇なり、という感じで私など一気に読んでしまいました。学者になるではなくゲーテに関するものすべてを集めてその博物館のようなものをつくってしまう、というエネルギーはどこから出てくるのでしょうか?
2014/05/14
しんこい
ゲーテの本を収集した男、ナポレオン狂のモデルというが全然マニアの偏執狂的な感じはなく、むしろ物事を徹底するすごさでゲーテもビジネスも形にしてきたという印象です。集めた本がこの時代に戦災で焼失しなかったのが何たる幸運。渋谷に行ったらのぞいてみたい。
2018/08/25
テツオ
ゲーテ図書館を作ることを人生の目標に立て、そのために青年時代に事業を起こし、実現させた粉川忠の実名小説。「ゲーテさん」と呼ばれたほど、ゲーテ作品の蒐集に人生をかけた粉川氏。代々村長の家系に生まれ、村を捨ててまで始めた事業は、なんと味噌こし器。成功する人物は、目のつけどころが違う。半日で読んでしまった。阿刀田高は読ませるなぁ。彼の出世作で直木賞を受賞した『ナポレオン狂』も粉川忠がモデルなんだとか。やはり、実名小説はおもしろい。
2012/02/26
takaC
1993年10月読了。
1999/01/01
東森久利斗
おお、ぼくは生活に疲れました! 悲しみが歓喜(よろこび)が何でしょう こころよい平和よ訪れてこい ああ わが胸に訪れてこい!(「さすらい人の夜の歌」(「旅人の夜の歌」) 訳 星野慎一) ビブリオマニア/愛書狂のダークな異形の世界とは異なる、常識的な優等生、経済人として、ゲーテと仕事に命を懸けた愚直な人生。軽妙、ブラックユーモア、奇妙な味、阿刀田高な脚色も適度な塩梅。食わず嫌いなゲーテさん、シューベルトの歌曲集、ゲーテ詩集、格言集、若き…、ファウスト、…、どれから攻略しようか。
2022/12/06
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