ときめきに死す (文春文庫 281-3)
ときめきに死す (文春文庫 281-3) / 感想・レビュー
harass
全四篇の短篇集。表題作が非常に良い。会社も辞め家族を捨てて自堕落な生活を送っていた主人公に昔の同級生が仕事を頼んでくる。静養地の山荘の管理人をやってくれという。お客は若い青年一人だけで、数日後にその地を訪れる政治家?を暗殺する彼の面倒をみてくれという…… 徹底的な主人公からのみの視点とサスペンスフルな展開と簡潔な文体で鮮やかな描写は『異邦人』を連想した。そして驚きの結末。古井由吉の小説と平行して読んでいて文体のあまりの違いに驚きつつ読書を楽しんだ。どちらも同じ日本語なのだがなあと。
2014/04/04
風に吹かれて
「ときめき」とは何だろう。何らかの期待を持ちながら、日常を変えること、普段の自分を裏切ること、そういうときに「ときめき」を感じるのだろうか。 人に使われているのは嫌だと会社勤めを辞めたのに何者かの「下」でテロに加担していることに気づくと「私」から「ときめき」は消えていった。「私が見限ったのは世間などではなく、私自身にほかならない。」と「私」は感じていたが、徹底して自分を見限り「跳ぶ」ことをしない限り「ときめき」を見ることはできないのかも知れない。 →
2022/11/30
29square
映画を観てから読んだ。設定も趣もだいぶ違う所があるが、映画の魅力であった温度の低い人物像とは違い、こちらの語り手である主人公の屈託は痛々しいほど伝わってきた。ソリッドな文体もこのヒリヒリする話に似つかわしい。
2021/10/16
かみのけモツレク
いいのは表題だけではなかったし、ちゃんとときめきました。
2013/03/12
Marr
傑作。
2011/07/27
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