僧正の積木唄 (文春文庫)
僧正の積木唄 (文春文庫) / 感想・レビュー
森オサム
「僧正殺人事件」を読んだばかりなので、続けて本作へ進みました。金田一耕助が「僧正殺人事件2」を解決するというWパスティーシュですが、結構面白かったです。論理的に考えて特定出来る犯人、と言う意味で本格推理では有りますが、当時のアメリカの排日感情が詳しく書かれ、社会派ミステリーの側面も強いでしょうか。金田一物の予備知識は特に要らないですが、「僧正殺人事件」を先に読む事が必須です。まあ概要見ていただくと分かる様に、万人受けする作品では無いですけど、一応、週刊文春ミステリーベスト10 2002年の第8位です。
2016/08/08
へくとぱすかる
ヴァンス対金田一耕助、という構図に見えて、ヴァンスは早々に退場。日米開戦前夜、排日感情の高まる中での、金田一耕助の活躍が見もの。昔ヴァン・ダインの「僧正」を読んだとき、すっきりしなかった記憶があるが、私の読みが浅かったせいでもなさそうだ。ミステリの謎より、日系民間人の行く末にハラハラさせられる。個人より国家なんて時代は二度と来てほしくないものだ。
2018/06/10
ホレイシア
満足♪。若き日の金田一耕助の活躍が何の違和感もなく見事に描かれている。本家本元を読んでなくても楽しめると思う。あ、「症例A」を読んで間もない方、ひょっとしたら「僧正」の正体が早目にわかっちゃうかもなので、気をつけられたし。
2009/02/04
KAZOO
ヴァン・ダインの僧正殺人事件からの波及した推理小説。さまざまな有名人が出てくるのでわかっている人にはかなり楽しめますが、ヴァン・ダインのものとはまるっきり切り離して読んだほうがいいのでしょう。当時の排日運動のことをよく調べられていると感じました。
2013/07/21
飛鳥栄司@がんサバイバー
金田一耕助が「僧正殺人事件2」を解決するというキワモノ。前半はヴァン・ダインの『僧正殺人事件』における推理の穴をついて解説に当てている。中盤以降は「僧正殺人事件2」が展開され、満州事件直後のアメリカにおける排日運動下における日本人スケープゴートに金田一耕助が立ち向かっている。小説としての盛り上がりがイマイチ感じられなかった。事件の真相も犯人による語りになっていて、金田一の存在価値が薄れてしまった印象が強い。縛りがきつかったせいか山田正紀の良さが半減してしまっていて、とても残念。
2014/11/07
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