菊籬 (文春文庫 み 2-6)
菊籬 (文春文庫 み 2-6) / 感想・レビュー
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
短編集。「自害」は維新の折に心中した山内家の傍系の当主夫妻の話。変動する世の中は無政府状態に近く、主家山内家と幕府との間で、どちらに着いたらお家が無事か家来たちが右往左往して、夫婦の遺骸を甕に入れたまま弔いもしないで置きっ放しにしている異常事態。奉公に上がっていた女中は冷たい扱いに胸を痛めながら、遺された娘2人の世話をする。政権が変わっていく時、どこの藩も同じ様な混乱があったのだろう。
2017/03/04
ophiuchi
2014年12月に亡くなった宮尾登美子の処女作を含む短篇集。著者が高知の遊郭で生まれ育ったことが各作品に色濃くにじみ出ていて、女たちの哀しみに心を揺さぶられた。
2015/07/31
たつや
初宮尾登美子。物凄い力強い世界観と女の強さを感じる8つの短編集でした。時代背景は古いのに現代にも通じる。とりわけ「彫物」には度肝を抜かれた。長編の「櫂」も読んでみたい。
2022/02/19
納豆
玉石混交の短編集。一番はじめの「彫物」が良かった。刺青をする描写は想像するだけで痛いし、主人公が可哀想だった。宮尾先生は女性の哀しい生きざまを書くのが本当に上手い。
2017/02/01
KEI
表題作を含む8編の短編集。‘彫物’‘金魚’‘自害’‘水の城’‘村芝居’‘千代丸’‘菊籬’‘宿毛にて’千代丸以下は、作者の実家の家業が大きく影響しており、‘櫂’や他の作品でも、その当時の様子が伺われる。彫物は今までの作品とは違い衝撃的でぐいぐい読ませられた。どの作品にも女の生き様が見事に描かれている。自害、水の城はちょっと怖いくらいの怨念を感じた。 宮尾作品はしばらく読んでいなかったが再読したい本がたくさんある。
2014/01/18
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