花のさかりは地下道で (文春文庫)
花のさかりは地下道で (文春文庫) / 感想・レビュー
はと
「怪しい来客簿」に似た雰囲気の作品だが、ほとんどが社会の底辺で生きていたようなごく無名の人たちをフィーチュアしていて、もっと地味。出てくる人達は、みんな不器用で、自分だけのこだわりと不可分には生きていけず、社会に自然には溶け込めない。自分だけの居場所をなんとか見つけて生きていけた人はいいけれど、戦後の厳しい時代の中、生きていけなかった人達も。他人から見ればどうってことないことがどうしてもできなかったり、なんとかやっていてもやっぱりズレていたり。疲労も劣等感も努力も熱気も諦観も、痛いほどよく分かる。
2015/04/05
桜もち 太郎
戦中戦後と達の悪い完璧な不良少年だったという作者の異色の経歴に驚いた。出版会社に勤務しながら作家としての技術を身につけたのだろうか。無頼派の作家には何となく憧れを持ってしまう。
2014/09/07
taka
戦後の貧しい時代の人間模様。つらい時代なのがよく分かるが、被害者意識の少ない書き方でスラスラ読める。短編とは思えないほど色々な人が登場するのが難点といえば難点かな。
2014/12/13
mabusi
久々の色川武大。中学生の頃に阿佐田哲也作品で出会ってから何冊も読んできているがこの人の文章はとても心地よい。
2016/12/26
久守洋
何よりもタイトルが素晴らしい。内容は『怪しい来客簿』に近いが、あれほどのインパクトはない地味な短編集である。
2013/05/13
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