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天皇と東大 III 特攻と玉砕 (文春文庫 た 5-21)

天皇と東大 III 特攻と玉砕 (文春文庫 た 5-21)

天皇と東大 III 特攻と玉砕 (文春文庫 た 5-21)

作家
立花隆
出版社
文藝春秋
発売日
2013-01-04
ISBN
9784167330217
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天皇と東大 III 特攻と玉砕 (文春文庫 た 5-21) / 感想・レビュー

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猫丸

京大滝川事件を傍観していた東大においても美濃部・矢内原が追放されることになる。上杉慎吉のあと、東大内での国粋思想は筧克彦さらに平泉澄へ受け継がれる。筧は法学部教授だが平泉は文学部。上杉時代での天皇機関説に関わる学問的論争はファナティックな精神論の同語反復に堕し、種々の誤解を含む精神的共鳴が軍部に伝播、個人個人の勝手な思い込みが「国体」の一語によって幻想的に統一されていく。自分が何を語っているかの自覚すらない連中が天皇自身の意向を無視し、各々の権力闘争に神国思想を利用するカオス状態が1930年代に始まった。

2020/03/24

nakmas

当時日本の人口の1/5を戦争で失わせるという結果を引き起こした大元「平泉史観」について論じている。 この史観も、それを利用して暴走した陸軍も、ある意味、天皇という存在を利用し、その威を借りた権力乱用なので、宗教や民族を要因と見せかけて引き起こす宗教戦争・民族紛争とやっていることは同じ。

2016/11/08

BLACK無糖好き

本書には強烈なキャラの二人が登場する。その一人は蓑田胸喜、雑誌「原理日本」(凄いタイトル!)の主宰者として知られる狂信右翼の国粋主義者。この人から共産主義者、反国体思想等のレッテルを貼られると大変な攻撃を受ける(天皇機関説騒動他)。もう一人は平泉澄、東大文学部国史学科教授。この人の皇国史観は筋金入りで、あの東条英機が心酔し切ったそうだ。この平泉の門下生達が陸軍士官学校に教官として入り教育が叩き直され、「天皇への忠義をつくすため喜んで死んでいく」平泉史学が浸透していく。海軍は少し敬遠していたらしい。

2015/04/01

rbyawa

j080、戦前の保守愛国(と呼ぶのもどうかなぁ…天皇の首すげ替えとか言い出す人とか普通にいるし彼ら)の人たちの中でほとんど唯一名前が知られた蓑田氏が出てくるものの…身内からの扱いが悪い…、著者さんの評価も底辺這ってる…まあ、身内からも馬鹿呼ばわりされてる群だとさすがに不当と言うのも変かな。怪物としか言い様のない彼がまず暴れ、それに日本社会そのものが引き摺られた体裁、だが、彼の場合は本当に純粋に日本を救うためにやっていたのだろうことは他の本でぽちぽち見れる。まあ逆に、だからその台頭を許したとも言えるのか…。

2019/07/15

じろう

蓑田胸喜より平泉澄ふたりの極右思想家を取り上げている。平泉のほうが蓑田胸喜のような狂気もなく日本文化の文人の匂いがして好ましいのかと思ったが読み進めるうちに日本人の若者に与えた被害が遥かに大きいと知った。しかも戦後蓑田は自殺したにもかかわらず平泉は堂々と余生を過ごした。岩波茂雄が蓑田の死にさいして「本物であったか。」と慨嘆したのに比べると平泉は人間的にも唾棄すべき偽物であったのか。

2019/06/24

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