下下戦記 (文春文庫 よ 12-1)
下下戦記 (文春文庫 よ 12-1) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第19回(1988年)大宅壮一ノンフィクション賞。 水俣病に苦しむ若者たちの生態記である。 水俣病を 公害被害者の若者達の実態視点で 描く。 事件の経緯・エッソなどの 描写を一切 除き、ひたすら 若者たちの生態に注力し 描き続ける…水俣病を背負いながらも 若者たちは どう生きようとしたのか …飾り気のない 容赦ない 筆致が 印象的な 作品だった。
2018/06/29
harass
水俣病患者の若者たちを支援し八年を共に過ごした著者が描くノンフィクション。彼らも人並みに恋もしたいし結婚もしたい! ありあまる情熱と無謀が暴走する。公害被害者運動の紆余曲折、被害者同士のいざこざ、補償金に振り回される現金な住民たち、発作と不安と鬱屈の日々、差別。それでも笑い泣きわめく彼らを神話化せずに、俗なままで自由奔放に描く。実在する彼らはロシア小説の登場人物のようだ。意外にも爽やかに終わる。大宅賞受賞作。怪作傑作。おすすめ。
2017/03/30
すがし
世にも稀なる公害被害者青春群像劇。しかも実録。同じように被害を受けた隣人同士の確執や賠償金で家を建てる話など読みにくい話がいくらでもありまた女の子とばかり考えてあれこれ無駄話をする会話など「虚飾を配した真摯なルポルタージュ」というのとも違うゆるい実像を本当にそのまま描いた怪作。そして貴重な記録である。
2012/02/07
seichan
人間の業を感じさせる、悲喜劇ルポ。作者の視線を理解するには、「夜の食国」も併読のこと。
2011/04/13
よこづな
共産党や新興宗教は出てくるがキリスト教は出てこない。著者の姿勢こそがキリスト教(アウグスティヌス)的だからである。
2009/05/07
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