ゆきなだれ (文春文庫 あ 13-3)
ゆきなだれ (文春文庫 あ 13-3) / 感想・レビュー
はつばあば
この本をミステリーと云うのでしょうか。人間ドラマ?恋愛小説?若い時に読んだ時よりも老いてから読み直す事が出来て、その時の味わいがより深く濃厚なスープを頂いた時のように美味しゅうございました。泡坂妻夫・大昔のようにも思える本が爺様の本棚から出てきた。でもこれは爺様が若かったとしても読んだとは思えない。この男女のヒダなどわかるような人では無い!。・・いや、長年夫婦でいたことが・・化粧を無くした女に男女の機微など必要としなくなったからか・・申し訳ないことをした。オトンごめん(__)。
2016/04/07
ア・トイロッテ(マリポーサとも言う)(各短編の評価はコメントで)
★★★☆7 この短編集は地味であるものの、随所にミステリ的なセンスを感じた良作短編集だった。泡坂妻夫の作品には文学寄りなものが多く、例えば『煙の殺意』もそうだったように、ホワイダニットが多いのが特徴。作品中では、評判の高い『ゆきなだれ』は流石に面白かったが、他の作品もまた味わい深い。『雛の弔い』の真相からくる印象的なラスト、『鳴神』で現れる女性の謎とそれが明かされたときの物語を締める見事な結末。ミステリではない作品に自然と謎を仕込んで、不自然ではない流れで解決するという手腕は見事だった。
2023/10/20
mii22.
泡坂作品初読み。こんなにしっとりとした読み心地のミステリは初めてです。醜い嫉妬や憎悪による殺人、驚愕のラストなんてものではなく、儚く切なく時には熱く心に秘めた思いがもたらす物語はどれも美しい余韻が残るラストでため息がでます。「闘柑」「アトリエの情事」が特に好き。表題作「ゆきなだれ」はただただ切なく悲しい。とても味わい深い一冊でした。
2015/05/15
Yu。
人は多かれ少なかれ秘密を背負うもの。。そんな貴方の知らない部分を知ってしまった私の心情にスポットを当てた8つの人生ミステリ。どの話もとんでもなく巧い… 儚く切なく、それでいてシニカルとも取れる展開が待ち受けるも、最上のオチの先に見えるのは美しさ。というように、改めてミステリの奥深さを痛感出来るお宝的な一冊。お気に入りは、過去一年程共に暮らした彫物のある女性との40年ぶりの再会を果した主人公が今になって知る事となる彫物に秘められた究極の願いにもう驚愕「鳴神」。他に「ゆきなだれ」「闘柑」もとても素晴らしい。
2015/05/04
Tetchy
泡坂妻夫の美意識が詰まった短編集。収録作8編中、私は『雛の弔い』と『闘柑』を推す。前者は戦慄を覚える真相。後者は小市民家族を描いた人生讃歌。総ての登場人物が活きているという稀有な作品。
2009/01/29
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