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凧をみる武士: 宝引の辰捕者帳 (文春文庫 あ 13-10)

凧をみる武士: 宝引の辰捕者帳 (文春文庫 あ 13-10)

凧をみる武士: 宝引の辰捕者帳 (文春文庫 あ 13-10)

作家
泡坂妻夫
出版社
文藝春秋
発売日
1999-08-01
ISBN
9784167378103
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凧をみる武士: 宝引の辰捕者帳 (文春文庫 あ 13-10) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

ミステリの謎解きと時代小説の江戸情緒を同時に味わえる素晴らしい捕物帳。なんといっても表題作が傑作。小判のついた大凧が発見される意表をついた発端が面白い。多くの人が殺されて、哀しい真相が明らかになる。江戸の空に浮かぶ凧という情景にはしみじみとした情趣がある。対照的に金と欲はどの時代であっても、どす黒く醜い。自分の悲しい過去を心に秘めて、江戸の苦界を生き抜く女性浜に惹きつけられた。水も滴るような魅力がありながら、生き別れた自分の子供のことを忘れない。彼女には幸せになって欲しかった。

2018/07/15

星落秋風五丈原

『鬼女の鱗』『自来也小町』に続くシリーズの第3弾。この後、単行本に『朱房の鷹』という作品がある。ある。 このシリーズの特徴の一つに、各話の語り手が代るという趣向がある。今回の語り手は、「とんぼ玉異聞」辰の子分の算治、「雛の宵宮」大和屋の女中お栄、「幽霊大夫」辰の子分の松吉、「凧をみる武士」さごさいの九造という具合である。語り手が代ることにより、お話の調子や視点、辰との距離感が異なることになり、マンネリ化に陥ることなく、毎回、新鮮な感じを与える効果がある。

2006/07/07

Tetchy

本作は前半、温かみのある人情話二編で幕を開け、何とも清々しい余韻を残して終えるが、後半の二編はどちらも悲劇で幕を閉じる。江戸の町人同士のままならない生き方が泡坂の一歩引いた文体で淡々と語られ、更に切なさを助長する。特に各短編に混じられる当時の江戸風俗模様が物語のエッセンスとして活用されているこの旨さ!!池波正太郎や柴田鎌三郎を読んだことがない私だが、それでも泡坂は本物の江戸を描ける作家だと確信した。

2009/05/20

ひかつば@呑ん読会堪能中

シリーズ第3巻。今回の語り手は孤独な御家人、お店の女中、辰の手先松吉、宝引売りの久造という4話。各々の一人称で綴られるので、辰親分がどんな調べをしたのか解らず、いきなり解決したり上手くいかなかったり、と語り手の立場や心境の変化と合わせて、何とも味わい深い作品になっている。泡坂氏の作品はどれを読んでも自分の好みにぴったりとはまるのが嬉しい。

2013/02/22

ケイスケ

例によって、主人公は辰では無い。今回は辰の介入もむなしく、十分な成果を挙げられず、悲しい結末をみる話が・・・

2016/04/14

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