ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫 い 17-13)
ピカレスク 太宰治伝 (文春文庫 い 17-13) / 感想・レビュー
遥かなる想い
週刊ポストに 56回に渡って 連載された太宰治の物語である。映画化もされ、今なお 多くの読者を魅了する作家の物語である。 太宰治の知られざる 生い立ちが 丹念に描かれて 正直 すこぶる楽しめる。 4回にも渡る自殺と破天荒な日々 …身勝手な生き方が いかにも 昭和の文豪らしい。 断片的な太宰治の人生が 繋がっていく…そんな楽しい読書だった。
2020/09/20
momogaga
読メ開始以前の既読本。太宰にまつわる登場人物たち、どんなビックネームもただの脇役になってしまいます。
里愛乍
兎角この太宰治、自身の書く小説よりも充分に奇なりというべき作家さんなのである。基本私は、小説と書いた本人の為人など同一視したりはしないのだけど、この人は例外となりそうです。本書を読んで、太宰治という人格に触れた今では屹度今後彼の小説を読む度に彼がチラつく。少なくとも其処にある、文字を言葉を文を追うだけのものではなくなった。読後直後に読んだ『グッド・バイ』の軽さがなんだか切ない。
2018/02/07
ヒロミ
正直、猪瀬直樹は苦手なのでおずおずと読み始めたが一気に読まされてしまった。この強引なまでの筆力がプロの仕事である。タイトルの「ピカレスク」とは「悪漢」のこと。この評伝は太宰と師匠の井伏に焦点を当てて進んでゆくが、太宰を「悪漢」と捉える視点と井伏もまた「悪漢」であったとして捉えた視点に分かれている。井伏ひとりというよりも井伏は太宰を取り巻く周囲の人々の代表として悪漢の立場に立たされているという印象を持った。本作の太宰は虚無的だが、太宰を取り巻く周囲は更に冷たい。読み応えはあるが苦手な作品。
2015/10/09
☆エンジェルよじ☆
『井伏さんは悪人です。』太宰治の遺書の冒頭である。「エッ~メロスと黒い雨がどう繋がってんの!?」帯買いでもジャケ買いでもなく広告借りで読む。当時は太宰作品を何も読んでなく名前を知っている程度。今回太宰作品を読んだ後で再読するとあの作品はこの時期にこんな環境の時にと思い浮かべながら読む事ができ、より興味深かった。太宰さんの行き詰まるととってしまう行動。最期も自分は助かると思っていたんだろうな、と思ってしまった。増補&あとがきまで読み応えがあった。
2013/01/21
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