旅芝居殺人事件 (文春文庫 み 13-2)
旅芝居殺人事件 (文春文庫 み 13-2) / 感想・レビュー
よっちゃん
初皆川作品。旅役者・劇団を舞台にしたあまり馴染みのない世界。表題作の裏にある真実意外だった。
2017/03/03
あ げ こ
観る者すべてを虜にする、役者達の壮絶な美しさ。胸中に秘められた悲哀、愛憎さえ、その身から放たれる甘やかな色香となり、彼等の姿はより艶やかさを増す。夢との境目を失った空間、妖美な幻想の闇を紅く染める血飛沫が、読む者を危うげな陶酔へと誘う。朧げな記憶から生まれた幻想が、悲劇を艶かしく彩る表題作、揺らめく夢幻の闇が呼び寄せる過去、情景の凄絶さがどこか官能的な「瑠璃燈」が特に印象的。
2013/12/26
梟
日本推理作家協会賞受賞作である表題作と他6篇。すべてが旅芝居をテーマに死を描いた短編。今日、歌舞伎に対して高級感と敷居の高さを感じてしまう日本人が多いが、これらの旅芝居には舞台は戦後でありながらも江戸芝居町独特の猥雑で美しい、背徳的な雰囲気が漂う。芝居というものが元々持っている背徳的で頽廃的な美しさを描くのに、皆川博子さんはうってつけの存在。人を引きつける美しい文章で芝居小屋の闇を描き出す。一番気に入ったのは『白衣』。玉三郎丈の鷺娘を知っているせいか、踊りながら苦しみ悶え死んでいく白い影が目に浮かぶよう。
2018/11/09
shiaruvy
コメントあとから [1987.09.10 初版]
ぱーぷる・ばんぶー
日本須利作家協会賞受賞作の表題作と他6編の旅芝居の一座を舞台にしたミステリー集。一座に起こった殺人事件が15年前に起こった事件の真相を浮き上がらせる表題作が面白かった。
2020/08/21
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