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瀧夜叉 (文春文庫 み 13-5)

瀧夜叉 (文春文庫 み 13-5)

瀧夜叉 (文春文庫 み 13-5)

作家
皆川博子
出版社
文藝春秋
発売日
1998-04-01
ISBN
9784167440053
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瀧夜叉 (文春文庫 み 13-5) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

皆川さん7冊目。舞台が日本の時代小説は初読み。 平安時代中期、平将門の娘夜叉と藤原純友の息子九郎。美丈丸と持衰である千代童、夜叉の姉如月尼ー。 それぞれの思いは複雑に絡み、縺れあい燃え上がる。そしてそれぞれの悲しみ、狂わしい気持ちを置き去りに、激動の時代は荒々しく流れ、その惨劇がまた新たな悲しみと狂気を織り成していく。 芦屋道摩の淫靡で歪な夢にこちらまで酔わされ、妖しくかなしく美しく残酷な、激動の平安時代の濃密な空気を思う存分堪能させていただきました。皆川さんと平安時代の相性、最高です。やっぱり大好き。

2019/05/22

mii22.

平安京遷都から140年余り、東西で平将門、藤原純友が反乱を起こし都は混沌とした時代。邪気怨霊の力に陰陽師や密教僧による呪詛調伏で対抗し怨敵を呪殺せしめようなどという時代の物語では、妖艶で淫らな皆川時代小説が無限の創作力を存分に発揮する。生きながら、半ば死ぬことをおぼえた身は夢とも現ともわからぬ領域で魂を漂わせる。怨念の力が膨らみ炎となって燃え上がる。そこで聴こえるのは愛しい人を思う切ない声。歌舞伎の舞台を思わせるような圧巻な終幕。身も心もぐったり疲れはてながらも、皆川劇場という美酒に酔いしれ余韻を味わう。

2019/12/04

*maru*

皆川作品14冊目。承平17年。盟約の証に夫婦となった平将門の子・夜叉と藤原純友の子・九郎。九郎とともに東国に渡った千代童と美丈丸。夜叉の姉・如月尼。安倍晴明や興世王。彼等を待ち受ける過酷な運命と戦乱の世に蠢く妖しい色気。目を背けたくなるような凄惨な場面でさえ官能的に感じてしまう皆川さんならではのこの世界観はやはり凄いとしか言いようがない。戦は人を鬼と化し、鬼は幻視の中で妖艶に微笑む。因縁によって人は交わり、人生は愛によって乱れ狂う。将門の怨念と蘆屋道摩の名を得た千代童が見る淫夢から、暫く逃れられそうもない

2017/03/17

エドワード

平安時代中期。都から離れた東と西で、平将門と藤原純友が狼煙を挙げる。純友の子、九郎直純は、将門の娘、夜叉を娶るべく、東へ赴く。つき従う美丈丸と千代童。東の地で男勝りな夜叉と、姉の如月尼が彼らを迎える。彼ら五人が西で東で、そして都で数奇なめぐりあいを繰り返す痛快な歴史絵巻だ。都の女を母に持つ九郎の心の中の、戦う運命と雅への憧憬の葛藤が印象的。持衰という、呪術の権化となるべく定められた千代童こと蘆野道摩のキャラクターも実に秀逸だ。東と西と都はほとんど別の国のようなカオスの時代。魅力的な光と影に満ちた冒険物語。

2016/09/08

miroku

耽美的幻想譚。あまりにも美しい・・・。

2015/03/21

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