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陽炎の (文春文庫 ふ 19-1)

陽炎の (文春文庫 ふ 19-1)

陽炎の (文春文庫 ふ 19-1)

作家
藤沢周
出版社
文藝春秋
発売日
2002-02-01
ISBN
9784167458010
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陽炎の (文春文庫 ふ 19-1) / 感想・レビュー

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masa

劣等生が本当は仲間を出し抜きたい気持ちを抱えながら徒党を組む。例えばお見合いで失敗続きな人が集まって「独身が気楽でいいよ」なんて言いながら、虎視眈々と色気づいたりするように。これって脱童貞や脱親元、様々な脱●●というシチュエーションに置き換え可能で、そう考えると身に覚えがある人は少なくないかも知れない。表題作は真夏の職安で、そんなコンプレックスが行き場なく吹き溜まっていく様を、一向に前へ進まない物語全体で比喩しているようだ。いつだって終わりは唐突で、狂った現実からの失踪を試しても、世界は揺るぎなく強固だ。

2017/08/14

hit4papa

4作品が収録された短編集です。些細なことから会社をクビになりハローワークに通う男の日々を描いたタイトル作は、出口なしの精神的な底辺感が寒々しいかぎりです。その他、二十年前に死んだ父親が過去の記憶に誘う「海で何をしていた?」、少年の中の黒い部分に共感する自伝的作品(?)「光と砂」、破滅的な壊れっぷりがノワールの如し「事情聴取」です。本作品集の中では、タイトル作に次いで、複雑に入り組んだ展開を混乱させることなく(ぎりぎり?)仕上げた「事情聴取」が良いでしょうか。総じて水準の高い作品が収められていると思います。

2022/02/14

harass

著者の自伝的要素のある短篇を含む本。この作家の本は四冊目でちょっとうーんと感じるようになった。文体は好きなのだがもどかしい。ひどい印象批評をやっていて我ながら反省するが。短編「事情聴取」は面白く思えた。全体像が次第にわかってくるサスペンス的な手法と酒場の描写が良い。予定調和をぶち壊すアナーキーさが素晴らしい。泥酔って怖い。

2013/06/20

作者の北村透谷研究の講演を読み、作者とこの本に興味を持ち、手に取りました。表現にちょっと自分には合わない部分がありましたが、話自体は面白く、4編共読みやすいサイズで、次の展開が気になりながらもあっという間に読み終えました。良い意味での不安定さが心地よいですね。

2015/05/26

anna

見事に重苦しい短編集。四編とも救いはないですw。前の方のレビューに自叙伝的な…と書いてありましたが、藤沢さんの脳内が心配です(^^;とくに最後の事情聴取で描かれてたホームレスの世界とか…怖いです

2017/07/02

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