乳ガンなんかに敗けられない (文春文庫 ち 2-1)
乳ガンなんかに敗けられない (文春文庫 ち 2-1) / 感想・レビュー
奥澤啓
千葉敦子が乳癌の発病から入院、手術、その間の友人、恋人との交流、自宅療養等について書く。文章がうまい。出版以来、30年以上が過ぎているにもかかわらず古びていない。凛として品格があり心地よい緊張感を感じる。襟を正したくなる。「私にとって幸福は金や名誉とは無関係であり、本当に好きな仕事を持ち、人を愛し人に愛されることにつきるということも確認した」。この一文に彼女の人生が凝縮されている。刊行から6年後、3度目の再発の後に亡くなる。ヤフーアメリカに彼女に関する記事がある。それだけの影響力があったのであろう。
2014/12/30
奥澤啓
著者はあとがきで、「読者にひとつだけお願いがある。私の家族はお互いに愛し合い、お互いの生き方を尊重しているが、それぞれ別個の人間である。私とは生き方も価値観も倫理観も違う。わたしがわざわざこんなことをいわなければならないのは、日本では賞をとっても犯罪をおかしても、親やきょうだいが引き合いにだされることが多いからである。どうか母や妹たちのプライバシーを侵害しないでいただきたい」、と述べる。そのとおりである。本書の刊行は1981年。現在の日本の状況はどうか・・・
2014/12/30
katta
この本、何度読んだことだろう。世界を股にかける女性ジャーナリストが自らの乳ガンを公表し、その治療、手術、友人との関係、家族、恋人、性生活まであっけらかんと明らかにした姿に今でも感銘を覚える。
2009/06/03
Sana
千葉さんの生き方や考え方に、とても励まされる。今日を大事にいきたいと思う。
2014/09/02
kanagon88
術後治療がホルモン治療だけだったのが転移の原因なのだろうか.医師が組織検査の結果を隠す時代に必死に事実を探り,克明に報告しようとするジャーナリズムの鏡のような本.今の時代は,一般の人間がネットで情報公開しているので,本当に良くなったと思う.
2014/05/25
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