上高地の切り裂きジャック (文春文庫 し 17-5)
上高地の切り裂きジャック (文春文庫 し 17-5) / 感想・レビュー
ミカママ
表題作のみ。いわば「御手洗シリーズ」ともいうべき作品群のうちの一作なのね。道理でキャラが頭に入って来ないはずだ。馴染みのある「上高地」という地名がなければ手のとることのなかったこちら、、、って、ぜんぜん上高地が出てこないじゃねぇか!トリック解明も、子ども騙し。蛆虫あたりは当時にしては斬新だったのかもしれないけれど、ミステリーらしいのはそれくらい。「メイル」表記だとか、古臭さと強引さが鼻に付く作品だった。
2019/05/04
W-G
この時期の短編・中編はけっこう読み逃しているが、読むとなんだか浸れてしまう。昔ながらの素朴な本格といおうか、変に気取りすぎていない登場人物の挙措に、エキセントリックな探偵がよく映えている。表題作よりは『山手の幽霊』の方がその傾向は顕著で、ホームズ直系の物語で好み。こういう、事件が起きているのかどうかも分からないような不思議な出来事を紐解いていく話はやはり良い。表題作の方は石岡君の弱体化がかなり進行した頃の話で、あまり乗れないというのが正直なところ。物語の構成にもちょっと無駄が目立つ&警察が愚かすぎて…。
2017/03/28
オフィーリア
中編二作の御手洗シリーズ。表題作の【上高地の切り裂きジャック】は半ばタイトル詐欺にも近くちょっと拍子抜け。トリックも暴かれる真相も何というか平凡。ちょっと期待外れの出来でした。【山手の幽霊】は突如密室に出現した遺体に幽霊騒ぎといった散りばめられた謎がどんどん結び付いていく様子は快感。自分だけ理解しているものの説明不足の御手洗さんに振り回されながら謎が一気に解かれていくいつものシリーズで楽しめました。壮大な謎とやや強引なトリックのパワープレイこそこのシリーズ最大の醍醐味ですね。
2021/08/11
nuit@積読消化中
久しぶりの御手洗シリーズ。あれれ、こんな感じだったかな。と思いつつも、テンポよく話が進むので、引き込まれて一気読み。個人的には表題作よりも「山手の幽霊」の方が楽しめました。
2022/09/04
Tetchy
「上高地の~」はスピンオフ作品「ハリウッド~」の創作中に生まれた副産物のような感じだ。この頃、島田氏が力を入れていた冤罪事件への取り組みの色合いもある。翻って「山手の幽霊」は、『~挨拶』や『~ダンス』の頃を髣髴とさせる御手洗の活躍ぶりが堪能できた。関係のないと思われた二つの事件がまたも大胆な設定で結びつく。これこそ御手洗ファンが読みたかった作品だろう。しかし両作とも共通するのは御手洗潔の超人的な推理力。超人的すぎて、少々辟易した。
2009/10/26
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