家はあれども帰るを得ず (文春文庫 せ 3-5)
家はあれども帰るを得ず (文春文庫 せ 3-5) / 感想・レビュー
fonfon
重い記憶の積層から漏れ出て浮かび上がる、数々の思い出を物語りながら、加齢のコブシ一つ分おいた距離感が崩れないので、優れた読み物になっている。全部ほんとじゃありません、フィクションですよ、と断っておられるが、全部、個人の記憶が膨らんで関川さんと同時代に生きる日本人の「ほんとう」になってる、と思う。記憶を語るとはそういうもの。「かつて魚になりたいと思った」に最も心を打たれた。
2012/04/10
yuji
昔の免許に「軽免許」というのがあったことを知らなかった。ホンダライフはいい車だ。デザインがいい。360ccの非力で走る牧歌的な情景が浮かぶ。母に虐げられ家に居場所のない父には共感する。車掌室の書斎は確かにいいアイデアだ。大きな本棚は欲しい。読んだ本は全てとっておきたいが部屋が狭くなるので処分しろとブックオフへ。明治文豪の本は読んだことがないので読んでみたくなった。遠い昔に父とキャッチボールをしたことを思い出した。息子は運動をしないのでキャッチボールをしたことはない。少しあこがれはある。
2024/11/16
べんてん。
再読。なんというか、僕の好きな関川夏央氏の一冊。含羞と諦念の思想のもとに美しくつづられたエッセイの体裁をとった物語(と解釈している)。多分初読は単行本が発売になった1992年ごろ。20年近く年上の関川氏の文章と想いに憧れた。男性固有のセンチメンタルな感情だとも思うが、どこかでずーっと持ってたいような気もする。大人なのか大人じゃないのかよくわからないけれども・・・
2011/06/28
感想・レビューをもっと見る