二葉亭四迷の明治四十一年 (文春文庫 せ 3-8)
二葉亭四迷の明治四十一年 (文春文庫 せ 3-8) / 感想・レビュー
浅香山三郎
二葉亭四迷は、例へば国語の授業なり、歴史の授業なりの文学史のジャンルで名前だけ出てくるといふくらゐの認識だつた。対露問題で論陣を張る大陸浪人的な志向があつた人で、文学のほうのみでの評価はかならずしも彼の本意ではなかつたといふ。明治41(1908)年といふ時代に至る東京の文学者たちの群像をも描く本書は、解説の高橋源一郎がいふ如く、『「坊っちゃん」の時代』にも接続する、時代の精神を主題にした作品である。文学者と憂国の士とが、四迷の中で未分化で共存をしてゐたのと同じやうに、日本の近代人の精神状態もまだ定まらず↓
2022/07/17
omemegaro
二葉亭四迷を知るにはこの本だけでは足りないが、周囲に回り道するぶん、時代の空気のほうを切り取ろうとしたのかな、という気がする。
2021/11/17
しんこい
二葉亭の人にも作品にもあまり興味がありませんでしたが、2,3読みたくなります。この頃ロシアに行くのはおおごとですね。
2010/08/07
風斗碧
二葉亭四迷って、もっと大人で落ち着いた印象があったのだが、ことのほか情熱家で不安定で冒険家だった。困りごとがある度に(しかも相当プライベートな問題を)坪内逍遥に長文の手紙を書いて解決を振るのとか可愛かった。四迷の名を打っているけれども、同時代の自然主義の勃興を時代の出来事と共に描いていて、誰かを特に賞賛するでもなく、淡々と群像劇になっている所が面白かった。
2022/01/23
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