鳥葬の山 (文春文庫 ゆ 2-2)
鳥葬の山 (文春文庫 ゆ 2-2) / 感想・レビュー
mocha
一話目『柔らかい家』が生理的に辛くて何度も挫折。表題作『鳥葬の山』は奇妙な味のストーリーが面白かったけど、具体的な鳥葬の手順はとばしながら読んだ。官能的な匂いがする『頭の中の湿った土』『あやかし』禅問答みたいな『羊の宇宙』が好きだった。〈死〉へと向かうさまざまなアプローチの8編。獏さんがとても楽しみながら書いているのが伝わってきた。
2019/08/29
Yun
表題作を含む8編の短編集。表題作にもなっている「鳥葬の山」はそのタイトル通りあるきっかけで鳥葬を見る男の話し。鳥葬を見て以降夢に見る不思議な光景とその真相。どの話しも少し不気味で、奇妙な物語のオンパレード。幻想的な雰囲気を十分に楽しめた。
2016/04/04
OHモリ
・テント山行の読書の友にと購入した1冊。読みだして「何だ!この異世界は?」ということで候補から脱落したBOOKOFF本。一人テントの中で読まなくて正解だった。 ・のっけの「柔らかい家」で始まって次の「頭の中の湿った土」へといきなりの異世界小説。タイトルの「鳥葬の山」なんてまだまともな方で「閑古鳥」はもっと怖い! ・夢枕獏さんは神奈川の同郷出身だし陰陽師シリーズなどもかつては読ませてもらったけど、このおどろおどろしさが彼の作品の魅力の一面ではあるのだろうけど自分の中では「神々の山嶺」が最高峰だと信じている。
2022/09/07
じゅむろりん
名前だけは知っててようやく読んだ初夢枕作品。どう転んでも恐怖しかない嫌な夢のような「柔らかい家」。チベット旅行で目の当たりにした鳥葬の克明な描写と死の概念を綴った「鳥葬の山」。老いた物理学者と羊飼いの少年の交流「羊の宇宙」は、絵本で読んでいました。「頭の中の湿った土」がマイベスト。スルスルと読める文体が心地よく恐怖をストレートに感じられる短編集でした。
2022/08/12
Kira
図書館本。今まで獏氏の小説を読んで怖いと思ったことはほとんどないのだが、この短編集の「柔らかい家」は怖かった。森で迷ってたどり着いた一軒家に泊めてもらえることになったが、その家の廊下が怖い。開いた窓から入ってきた虫を追って、サンマの群れが飛びこんでくる。え? 森の外れの一軒家の外は海中なのか? 便所に行く途中の廊下で巨大なクジラが壁から出てきて、もう一方の壁の中へと消える。囲炉裏の火にかけた鍋の中で煮えているものが、また恐ろしい。悪夢を見たような気分になる話だった。
2024/01/11
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