腐りゆく天使 (文春文庫 ゆ 2-12)
腐りゆく天使 (文春文庫 ゆ 2-12) / 感想・レビュー
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要約すると「僕は誰だ?君はなんだ?世界は何を基軸にどう僕らは存在しているのか誰か言ってみろ、言えないだろ、何もわからない、僕らは何だ(そしてその困惑からくる悲しみ)」という元々は萩原朔太郎の詩から発せられていたメッセージを、適度に抽出して(朔太郎本人の詩、手紙もかなり引用しているので原液のままもある)著者お得意の幻想怪奇文学にアレンジしている。トータル450頁に渡り、上記の問いを狂ったようにリピートしており、それ以上でもそれ以下でもない。だんだん頭がおかしくなるし、だんだん世界が崩れて行く感じが良い。
2015/03/26
冬見
せんちめんたるの詩人・萩原朔太郎、記憶を失った屍体、美貌の神父。三者の記憶と幻想が絡み合い、境界は失われ、静かに狂い、収束へ向かう。茫洋としているのに驚くほどクリア。文体は朔太郎の詩や本作の雰囲気に合わせた古風なものだが、リズムがあってとても読みやすい。視覚、聴覚、嗅覚に訴える。そして何より物語に散りばめられたイメージの鮮烈さ。腐ってゆく天使から漂う甘い腐臭を感じた。
2017/11/17
はかり
夢枕本人があとがきでこの本を傑作だと言っているが、異議あり。夢枕の作品はかなり読み込んできたが、これは傑作とは言えない。面白くなくて飛ばし読みしたぐらい。萩原朔太郎はあまり好きとは言えないが、犀星は大好きだっただけに…。
2017/03/25
ちー坊
友人からのおすすめの1冊。友人には申し訳ないがあまり自分は面白いとは思わなかった。夢枕先生は初読みですが独特の世界観だなと思いました。詩人、萩原朔太郎を題材としてどこか幻想的な雰囲気がある物語でしたが正直いまいち好きにはなれないなと思ってしまいました。(夢枕ファンに申し訳ないです)
2016/09/30
5〇5
詩人萩原朔太郎。その作品はまるで強迫観念にとらわれているかの様ですね。本書はその朔太郎の世界観と見事に融合した〝病んだ”小説の傑作だと思います。腐っていく天使のイメージは強烈で心に纏わりつきますね。熟れ過ぎの果実のような登場人物達の青白き愛慾の世界を堪能しました。
2017/02/19
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