KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

ひるの幻 よるの夢 (文春文庫 こ 29-1)

ひるの幻 よるの夢 (文春文庫 こ 29-1)

ひるの幻 よるの夢 (文春文庫 こ 29-1)

作家
小池真理子
出版社
文藝春秋
発売日
2002-04-10
ISBN
9784167542016
amazonで購入する Kindle版を購入する

ひるの幻 よるの夢 (文春文庫 こ 29-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

'90年代(著者40代)に主として「オール読物」に掲載された短篇を6篇収録。いずれもシーンは日常的だが、シチュエーションはやや特異(極端な年齢差の「静かな妾宅」や表題作など)である。また主人公に選ばれた女性たちは全てそれ相応の年齢。そのせいというわけではないが、いつもの小池真理子の小説に比べると、華やかさに欠けるか。それは愛情のありかたが一方的であり、インタラクティヴな緊張感に乏しいからかとも思われる。面白くないわけではないが、読者がこの作者に求めているものはこれではないだろう。

2021/05/06

ミカママ

タイトルどおり、幻や夢にまつわる短編集・・・なのかな。全編に漂うアヤシイ雰囲気を楽しみながら。ラストの『シャンプーボーイ』、息子のような年回りの青年に惹かれながらも、自分の老いを自覚する主人公に、悲哀を感じてしまった。小池さんらしい作品集でした。

2016/04/16

じいじ

 六編の短篇集。各々趣向が凝らされていてどれもいい。コミカルな感じ、ミステリー色を演出したもの、そして、全編を通して貫かれる官能表現は小池さんの持ち味を存分に感じさせてくれる。お薦めの順列は付けにくいが、強いて付けるなら次の2作が好きだ。[秋桜の家]妻に先立たれた誠実な55歳の男と38歳の女の恋話。一人息子も絡んでの展開が面白い。コスモス畑の背景描写が美しくて素敵だ。中年女性の控えめな魅力を醸し出した、表題作「ひるの幻…」がいい味だ。72歳の作家と身の回りを世話する47歳の独身女性の歯がゆい大人の恋の話。

2016/01/23

ぐうぐう

夜に見る幻が夢で、昼に見る幻は白昼夢になる。寝ている時に見る夢は、その人の潜在的な想いが幻となっているが、白昼夢は幻を引き起こしている自身の想いに自覚的である分、残酷さを伴っている。ここに収められた短編で主人公の女性達は、自身の想いが引き起こす幻をそれぞれ見る。その幻は女性達を救うこともあれば、悲劇へと導くこともある。しかし、どちらにせよ、そこには痛みが生じ、やはり残酷性がつきまとうのだ。起きていても寝ていても夢を見続けているのなら、人は幻の中で過ごしているとも言える。(つづく)

2020/02/16

シュラフ

歳をとってくると孤独な気分になることが多い。そんな時ふいに女が欲しくなってくる。それは性欲ということではなく、ただ脇にいるだけでいい、ただ触れているだけでいい、心の淋しさを癒してくれればそれでいいのだ。世の中の女たちはどのように過ごしているのだろうか。男の私には女の気持ちなど分からない。この短編集では妄想を抱く女たちが主人公である。女たちもまた寄り添うべき男たちを求めている。それはけっして身体とか金銭とかいう問題ではない。ただ一緒にいたいという狂おしいような感情。これは男には分からない女の心の奥底である。

2016/08/06

感想・レビューをもっと見る