かすみ草のおねえさん (文春文庫 た 31-3)
かすみ草のおねえさん (文春文庫 た 31-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
俵万智さんが、高校教員を辞めた27歳からの足掛け5年間に綴られたエッセイをまとめたもの。特定の主題があるわけではないが、やはり言葉に関わるものが多い。教員との二足のわらじを脱ぎ捨てたせいか、伸びやかなタッチで書かれているようだ。例えば将棋の観戦記だが、(俵さんは)王様を取られたら負けだと思っていたら、戦いが終わったはずなのに両方の王様が健在。しかも棋士の顔つきたるや両者ともに苦虫で、彼女は益々困惑するといった、惚けた味わいさえ感じられる。また、随所に散りばめられた短歌群が輝きを放つ。
2019/10/01
kaizen@名古屋de朝活読書会
短歌に関する随筆なので、短歌がいたるところに出てきて、解説にもなっている。高校の先生になる面接で、「心の花を創刊した佐佐木信綱の歌を五首、この場で言えますか?」。幸運はこの時には始まっていたことを知る。第一歌集「サラダ記念日」、本装幀:安野光男、解説:江國香織。「幸運は、我が師のご恩ではじまって、サラダ記念日、たんぽぽの日々。」@kaizen_nagoya
2014/09/14
はと麦茶
短歌って、説明書きが無いとよくわからない鈍感な私が、「素敵!」と思った。俵万智さんて、育ちが良くて優しい人なんだろうな。
2018/11/09
あきあかね
つつましやかに咲く梅には、春霞がよく似合う。数年前に病気で一切の木が伐られてしまった奥多摩の吉野梅郷を最後に訪れた時には、小雨に煙っていた。公園の斜面には様々な濃淡の紅梅・白梅1500本が植えられており、霞の中に溶け込んでいる。静かに傘をたたく雨音。黒澤明の映画『夢』に出てくる幻の桃畑のような光景。時間がゆっくりと流れてゆく。 春が近づき雨模様の日が多くなってくると、俵万智の「私の好きな春の言葉」というエッセイを決まって思い出す。中学の国語の教科書に、この短い文章は載っていた。⇒
2019/02/24
ちゃっぴー
俵万智さんが高校教師を辞めてから5年間に綴ったエッセイ。彼女の物事の捉え方、またその言葉での表現が豊かでみずみずしい。尾崎豊の詩のの解釈や、赤毛のアンについてがおもしろかった。目には見えないものの美しさを感じる心、大事だ。彼女が中学生まで大阪に住んでいたってことを知り、親近感がわいた。
2019/10/29
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