大地の子 一 (文春文庫 や 22-1)
大地の子 一 (文春文庫 や 22-1) / 感想・レビュー
zero1
満蒙開拓団として大陸に渡った人たちの悲劇。45年8月9日ソ連参戦で惨劇が。松本勝男は記憶を失い家族と離れ離れに。人買いに売られていたことろを教師の陸徳志に救われる。中国残留日本人孤児の苦悩を描いた力作。その後、スパイ容疑で15年の刑となった主人公。「小日本鬼子」など、彼はどうしてここまで苦しまねばならないのか?破傷風になった彼を救ったのが巡回医療団にいた看護師の江月梅。まさしく彼女は女神。国共内戦、文化大革命など歴史も学べる。何度目かの再読だが何度でも泣ける。この作品を受け止めるには覚悟が必要。
2019/07/12
のっち♬
終戦間際、満州でソ連軍に家族を殺された主人公は売られた農家から逃げ出し、小学校教師に助けられる。「日本とは、日本民族とはかくも罪深き民族なのか」—冒頭の凄まじい批判大会から、早速物語がいかに不条理な世界にあるかを訴えかけてくる、「大義名分で無実のものを迫害する」意味では文化大革命も形を変えた戦争とも言える。戦争孤児となった主人公の遍歴もかなりスリリングに描かれており、そのメリハリのついた筆致の力強さは当時六十半ばという著者の年齢を感じさせない。狂乱の中でも危険を顧みずに手を差し伸べる人たちこそ希望の光だ。
2018/05/09
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️大学生の頃に読みました。
2005/01/01
Rin
[借本]苦しくて、苦しくて、悔しくてやるせない。いっそ、助からなかった方が楽だったのでは…。そんな風に感じてしまう。国に見捨てられて、中国で中国人として生きたくても拒絶されてしまう。一心の身に降りかかったこと、降りかかること。どん底に落ちたと思っても、まだ落ちていく。読んでいて辛くてでも止めることもできない。少しの光や希望。暖かな人の力はまだ一心には届かない。私では生きようと思えない境遇でも、彼はまだ諦めていない。気にはなっていたけれど、4冊もあると足踏みしていたけれど、もっと早く手に取れば良かったです。
2019/03/15
reo
『二つの祖国』では、太平洋戦時下、日系人というだけでアメリカ軍によって、約12万人の日系人が全ての財産を没収され、強制収容所に入れられ苦労を強いられる。一方こちらは中国人の養父母に拾われ、中国人”陸一心”として育てられたが、出自が日本人であるがゆえ、幼い頃からことあるごとに、小日本鬼子と苛められる。大学を卒業しこれからというところで、文化大革命の嵐に飲み込まれ、党と国家に対しての忠誠心を疑われ、反革命犯の矯正処遇政策であるところの労改収容所送りとなる。日本人とは?を改めて自問させられる戦争三部作の最終章。
2017/05/31
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