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猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫 お 17-3)

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫 お 17-3)

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫 お 17-3)

作家
小川洋子
出版社
文藝春秋
発売日
2011-07-08
ISBN
9784167557034
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猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫 お 17-3) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

穏やかだが堂々とした「生」を表現。山崎さんの解説「『仕方ない事情』を仕方がないと受け止める潔さ」がうまく物語をまとめる。「生」は64マス上の6種類32コマを移動させるチェス。多くのゲームは勝敗を名誉やお金に結びつける。しかし、小川さんはゲームの結果ではなく、その過程こそに人間とは何かのすべてが暗示されると表す。答えのない畏怖されるゲーム過程を追い求める好奇こそ、思考する人間の「生」を紡ぐに相応しいと。その継承は記号の羅列に過ぎない。しかし、それは言葉を超えた情緒を醸す。単純故に尊い「生」を清く伝播すると。

2020/03/08

ミカママ

冒頭の「かつて確かに存在した象」のくだりにノックアウトされた。チェスのルールはわからないながらも、年始に観た「クイーンズギャンビット」を思いながら半分くらい読んだところで、脱落。情況に入り込めないのでいったん本を閉じる。読了ではないが自分の記録のために。

2021/04/08

zero1

数学同様、チェスも小説になる。何年か前、私はチェスに熱中。対局者がおらずソフトが相手。その際、「この局面は前にあったか」気になり検索。1929年の棋譜を発見。その瞬間、私は大昔の棋士と繋がった。チェスの世界は奥が深い。しかも日本の将棋と違い世界各国に棋士がいる。文化が違い、言葉が通じなくても盤面で理解し合える。チェスとは、将棋より狭い8×8で64マスの海に潜り冒険する競技。駒が強力なので展開が将棋より劇的。盤の下で対局するリトル・アリョーヒンを描いた静謐で詩的な小川の世界。10年本屋大賞5位。

2019/09/16

さてさて

『頭脳の良し悪しだけで勝敗が決まるものではない』という『チェス』に光があてられるこの作品。そんな作品では小川さんのさまざまな工夫によって『チェス』の知識が全くない読者でも夢中になれる物語が描かれていました。『チェス盤の前では誰だって、自分を誤魔化せません』という言葉の意味を物語の中に感じ入るこの作品。『チェスは、人間とは何かを暗示する鏡なんだ』という言葉に、『チェス』の奥深さを感じるこの作品。哀しくもあたたかい思いが残るその結末に、『チェス』を深く愛した『彼』の存在がふっと浮かび上がる、そんな作品でした。

2023/01/07

yu

綺麗に並べられた文字の波が、少しずつ少しずつ押し寄せてくる感じがする一冊。 大きくなりすぎてデパートの屋上から降りられなくなった像インディラ、壁の隙間に挟まって出られなくなったミイラ、太りすぎてバスの中で亡くなったマスター。「大きくなること」に恐怖を抱き、11歳のまま成長がとまってしまった僕。少年はやがて、盤下にもぐり、人形を操ってチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に踏み出した少年の生涯に、最後は涙が止まらなかった。 最初はなんのこっちゃ?と思ったタイトル『猫を抱いて像と泳ぐ』。秀逸!

2013/05/12

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