マリコ/マリキータ (文春文庫 い 30-1)
マリコ/マリキータ (文春文庫 い 30-1) / 感想・レビュー
翔亀
池澤さんは短編の名手だったんだ。全5編、お馴染みの"離島"あるいは"離島的"な日本/ハワイ/南方/アフガニスタンを舞台に、恋愛/兄弟/夫婦/仕事/秘境小説とバラェティがあって楽しめる。しかし通底しているものは同じで、現代が失った自然の中で進化した人間の本性(本能)への憧れと畏れを持ちながらも、現代人としての理性と矜持を保つことにより、社会の内にぎりぎりの境界に留まる。普通は諦念とか断念になるところが、爽やかな印象を与えるのは、宇宙論的な視野の中で詩的に語られるからなのだろう。池澤さん続読決定である。
2015/02/22
メタボン
☆☆☆☆ 南の島を舞台にした表題作は、何と言ってもマリコの独特な魅力が良い。父の再婚により相手の連れ子であり兄となったキミユキの破天荒な人生「梯子の森と滑空する兄」。遠洋航海に出ている兄へ、兄の妻と子が島を出ていったことを手紙で告げる妹、手紙のラストに希望を感じる「冒険」。未知との遭遇を想起させる「帰ってきた男」。
2022/06/24
おさむ
25年前の池澤さん初の短編集。都会の喧騒から離れた南の島、異文化との邂逅、そして、ガイアという言葉がピッタリの理科系文体。一読すれば、池澤作品とわかるその際立った個性はお見事ですね。
2015/11/20
背番号10@せばてん。
1994年12月7日読了。あらすじは忘却の彼方。
1994/12/07
bfish
5つの短編。社会の枠組みの内部で過ごす者と、自然を含めた外部で過ごす者が交差する物語。交わることはあっても結局は各自多くを語らず静かに離れていく。自由と孤独について考えさせられます。
2014/02/15
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