あんちゃん (文春文庫 き 16-8)
あんちゃん (文春文庫 き 16-8) / 感想・レビュー
shizuka
夫婦や兄弟など誰にでも起こりうる物語。時代は江戸だけれど、絆や情はそうそう変わるものではないだろう。幼い頃慕っていた指南所の先生にやっと想いが通じた「帰り花」や最期は惚れた女の側でと、家を捨てて女のもとへやってきた初老の旦那とお妾さんの「草青む」など年齢差恋愛を美しく切り取った話が印象的だった。「草青む」の本妻の本音もよかったし、死んだ後も妾を思い遣る旦那の心遣いも粋だ。江戸の男性は本当にかっこいい。「あんちゃん」はこれぞ人情話だね。どこまでも心がまっすぐで清々しい兄ちゃんと弟の与兵衛、仲直りできたかな。
2016/11/05
ふう
ほしいのは小さな幸せ。それを大事に温めてつつましやかに生きていきたい…。そんなささやかな願いをもち、不器用だけど健気に生きている人たちの物語です。男でも女でも兄弟でも、相手の弱さがわかると心底人を憎むことができません。人を押しのけることもできないけど、自分の気持ちに嘘をつくこともできない。それでもいい、小さな喜びを受け止められる人がきっと大切なものを見つけられる人だからと北原さんのやさしさが感じられる作品でした。
2013/04/24
ほうじ茶子
最近、時代小説が気になってまして本屋さんで選んできたこちら7編の短編集。冒頭から引き込まれて読んだ一途な想いの「帰り花」、男と女のどうしようもないやるせなさの漂う「風鈴の鳴りやむ時」に心揺さぶられました。江戸の市井の人たちの悲喜交々…なんだか沁みるなぁと思うので、いろいろ読んでいきます〜
2024/03/10
Kira
図書館本。七篇収録の短編集。前半の四篇では、対照的な二人の女をストーリーに巧みに織り込んでいる。少女の頃に魅かれた男の面影を追う「帰り花」がとてもよかった。後半の三篇は、幸せを守ろうとする三人の男女の姿を描く。幸福な日々が壊されていく不安におびえる「いつのまにか」が、ハラハラする展開の作品で、読んでいるこちらも不安な気分だった。
2021/09/05
ぽいふるん
江戸の片隅で精一杯生きていた人々の愛憎って嫌みにならなくてしみじみとして好き、。どこかデトックス感もある
2014/07/11
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