詩歌の待ち伏せ 2 (文春文庫 き 17-3)
詩歌の待ち伏せ 2 (文春文庫 き 17-3) / 感想・レビュー
yumiha
再読を楽しんだ。詩人大川宜純も歌人谷中安規(版画家でもあった)も、ほとんど目にしないマイナーな存在だ。詩集であれ歌集であれ、世の中に広く流通するものは、ほんの一握り。多くは埋もれたままで終わる。それを北村薫は取り上げた。作者にとっては冥利なことだろう。第1巻に続き、チャンドラーの「To say good-by is to die a little」を再び取り上げ、クリスティやコール・ポーターまで繋げ広げて、「文化なんてみんなパクリだろ」とうそぶく少年の物語で閉める北村薫の手腕に苦笑させてもらった。
2020/05/08
のぞみ
「風更けて」を巡る、古今の作家たちの思い。歴史という縦軸に絡まる無数の人々。それこそが「物語」だ。3歳の男の子の詩『れ』にまつわるのは、言葉の持つ恐ろしさだ。たった一文字で、言葉は人間の尊厳を奪い、殺すことが出来る。それを、誰もが自分の考えを発信出来る今こそ考えるべきだろう。『長いお別れ』の名セリフについての流れも面白い!
2017/09/27
Jun Shino
北村薫が心に残った言葉を探究していくシリーズ。「さよならを言うのはわずかのあいだ死ぬことだ」 レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」の名台詞について調べるのが面白い。もともとフランス詩人アロオクールの書いた有名な一節。 「トゥ・セイ・グッバイ・イズ・トゥ・ダイ・ア・リトル」フランス語では 「パルティール・セ・ムーリール・アン・プー」アガサ・クリスティーやコール・ポーター作詞のジャズ・ナンバーでの使用が分かり楽しい。アロオクールの詩を意識して作詞、それをチャンドラーが聴いていた、というのにロマンが漂う。
2020/10/10
yumiha
第2巻で取り上げられていた大川宣純も、谷中安規も、えっ!北村薫が、こういう人を取り上げるの?と驚いた。この二人の個性が毒々しいまでに強く、私が勝手に抱いてきた北村薫の知的で静的なイメージとかけ離れているように思ったからだ。この二人に比べれば、中城ふみ子などおとなしいもんさ。ともかく、読み直す本として、3冊セットでamazonで購入。
2012/05/24
Touhg toucan
去年、1を読んだので真っ先に読みました。人それぞれの詩歌の受け取り方、広がる世界……素敵です。
2014/01/05
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