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鷺と雪 (文春文庫 き 17-7)

鷺と雪 (文春文庫 き 17-7)

鷺と雪 (文春文庫 き 17-7)

作家
北村薫
出版社
文藝春秋
発売日
2011-10-07
ISBN
9784167586072
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鷺と雪 (文春文庫 き 17-7) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

北村薫氏の作品は初読。本書はシリーズの第3作目にあたるらしい。3篇から構成されているが、感想は表題作のみ。作品全体のムードは、三島由紀夫が描いて見せた貴顕の世界(例えば『サド侯爵夫人』や『鹿鳴館』)を、貴顕の側から見る(三島)のではなく、庶民の側から見るといった趣き。時は昭和10年の10月から11年の2月まで。物語の終幕は早くから想像がつくが、小説は梅若万三郎が『鷺』を「延命冠者」の面をつけて舞ったエピソードなどを実に巧みに織り込んでゆく。歴史上の些細なことがらと物語の推進力との相関はなかなかに見事だ。

2017/10/19

kaizen@名古屋de朝活読書会

直木賞】不在の父、獅子と地下鉄、鷺と雪の3本立て。参考文献多数。オール讀物2008年。良家の令嬢英子と、当時では珍しい女性運転手の愛称ベッキー。二人の人間性が物語りを支える。爵位の話がなければ、現代の物語でも通用しそうな話。学園物、地域物として出色。

2014/03/17

修一朗

見事な終わらせ方に感嘆して読了です。226事件の日をもってシリーズ完結、ベッキーさんは若い世代に希望を託すも、その後の歴史を知るものとしては、複雑な思いが残りました。エピソードはほぼ事実に基づいているそうで、作者は昭和のあの時代の違う側面を見せてくれたと思います。暗示含みの文章がたくさんありましたが、知識不十分の私は気づかずにスルー、表紙の意味するところも、読後にやっと理解、惜しいことしました。「鷺」の能面…難しいなぁ。全部わかった上で再読したいところです。物語としては「獅子と地下鉄」がお気に入りです。

2014/08/15

ひさか

オール讀物2008年1月号:不在の父、6月号:獅子と地下鉄、12月号:鷺と雪、の3つの連作短編を2009年4月文藝春秋から刊行。ベッキーさんシリーズ3作目。読み終わるのが惜しいほどの作品でした。2.26事件をもって、物語は終わります。2000年代には、まだ存命であってもおかしくない英子お嬢様のその後を読んでみたいと思いました。第141回(2009年上半期)直木賞受賞。直木賞に関しては、宮部みゆきさんが、選考委員に入られたことが大きいと思います。

2018/07/30

kishikan

「街の灯」「玻璃の天」そしてこの「鷺と雪」、ベッキーさんシリーズを全て読み終えて気付く北村さんの壮大な構想。三部作それぞれ、語り手である良家のお嬢様花村英子、そしておかかえ運転手であり才色兼備のスーパー女子ベッキーさんが、昭和初期の上流社会を舞台として、日常の不思議を解くミステリー小説として楽しめます。が、しかしシリーズを通してみると、当時の社会の動きを随所に散りばめながら、ベッキーさんの言葉や英子の心の成長を通しての北村さんの語りかけを感じるのです。数ある北村さんの小説の中でも、この三部作はお薦めです。

2012/01/14

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