新装版 「レ・ミゼラブル」百六景 (文春文庫) (文春文庫 か 15-7)
新装版 「レ・ミゼラブル」百六景 (文春文庫) (文春文庫 か 15-7) / 感想・レビュー
さゆ
レミゼとユゴーの思想についての解説本。罪なる者を許す良心が獣と人間を隔てる人間性、則ち神であり、これより人類は進歩の道をたどる、とあるようにやはり許しがテーマの1つにあるようだ。かつてマンデラやガンディーも許すことによって解決をはかったが、憎しみや復讐だけに囚われているとそれを果たしたとしても残るのは目標を失った空虚だけで、負の感情が大きいほど空虚さもまた大きくなる(体験談)。嫌なことを覆い尽くすほど好きなことしたいと思う今日この頃。
2023/12/10
まこみん
今年の帝劇で観る前に、きちんと原作の知識が欲しいと思っていたところ、ぴったりな文庫本に出合った。当時の木版画挿絵が230枚掲載されて、その時代背景やユゴー自身の思想の変遷も分かりやすく書かれ、すっかりレミゼ通になった気分に。フランス革命からの目まぐるしい時代変遷も再認識出来た。ジャン・ヴァルジャンの生涯を通しての罪の意識と追われる立場、ミリエル司教から受けた慈愛の精神。ジャベールの自身崩壊の経緯。当時のパリの庶民生活、弱者への不寛容。1832年6月の民衆蜂起の場面ではバリケードの解説。民衆の歌、熱い思い。
2019/01/02
zero1
革命に愛、人間の狡さと死。すべてがここにある!誰もが知っているが、仏文学者を含めて読んだ人は意外に少ない。ミュージカルだけの人は作品の魅力を一部しか知らない。たとえばエポニーヌはガブローシュの姉。つまりテナルディエ夫妻の息子。パンを盗み脱獄を繰り返したことで19年牢獄にいたバルジャンは司教と出会い生まれ変わる。本書は多くの挿絵でこの壮大なドラマを紹介しながら解説。我々は犯罪者を排除するだけでいいのか。1862年に出たものの、底辺にあるテーマは今も問われ続けている。著者は古本でも知られる明大教授の鹿島茂。
2019/02/10
i-miya
2013.12.07(12/07)(つづき)鹿島茂著。 12/06 (p042) 第6景、ジャン・ヴァルジャンの過去。 報復刑罰主義。 第11景、学生と女工。 パリの女工、ファンチーヌのエピソード。 1815.06、ワーテルローの敗戦、ナポレオンの百日天下、終了。 ルイ18世の第二次王政復古、始まる。 軍歴の代わりに、学歴が重んじられる時代。 学生の町、カルチエ・ラタンは学生があふれる。 グリゼットと呼ばれる女工たちと遊ぶ。 フェリックス・トロミエスもそんな学生の一人。
2013/12/07
Book & Travel
19世紀後半に書かれたというユーグ版『レ・ミゼラブル』の挿絵から230葉を取り上げ、ストーリーに沿って内容の要点とその背景にある当時のフランス社会について、仏文学者の著者が解説してくれる。抄訳版で読んだので、もう少し理解を深めたいというところがあって読んでみたが、わかりやすくてとても良かった。ユゴーがこの作品に込めた無償の愛と社会の悲惨さというテーマのうち、特に後者の部分についての理解が補完され、作品への思い入れも深くなるようだ。他の長編名作でもこういう本があるとより楽しめるだろうな。
2018/11/09
感想・レビューをもっと見る