石原莞爾と昭和の夢 地ひらく 下 (文春文庫 ふ 12-3)
石原莞爾と昭和の夢 地ひらく 下 (文春文庫 ふ 12-3) / 感想・レビュー
H2A
石原莞爾と昭和の夢という副題のとおり、異才として有名な軍人の足跡と戦前の昭和の描いた野心作。不見識ながら、ある時期からは傍流にあって歴史的に決定的な役割を果たしたと言えない石原の過剰な持上げ方にはそもそも違和感を覚えた。
2016/01/16
さっと
そして、もうひとつは石原が、列強各国が次代の覇権を伺う世界秩序の中で日本はどうあるべきか、その立ち位置をめぐって明確なビジョンを持っていたということ。昭和初期の段階で世界地図の中に満州国というくさびを打ち込まないといけない。この本の特徴は単に軍人ひとりの足跡を追うだけでなく、驚くほど、各国の情勢に紙幅をさいている。その世界史的な流れは不思議なことに石原の視点、行動によく反映されている。しかし、石原の独断専行がのちの終わりなき戦線拡大を容認する軍部判断の口実になるのだから、歴史は非情で皮肉と言うしかない。
2020/09/07
i-miya
★福田和也『地ひらく 石原莞爾と昭和の夢(下)』2004.11.09 P16 リットン P11 国際連盟脱退 満州は分離を国際社会が是認 日本と中国は受け入れるだろう(英) P19 欺瞞文書 ジュネーブ フランス系住民 カルヴァン始祖 杉村陽太郎 日本代表部 P23 1933(s8)02.24 脱退 P24 「第4連隊連隊長」-仙台 名門大統領 ルーズベルト P31 車椅子の政治家
2004/11/18
BLACK無糖好き
下巻は国際連盟脱退から日中戦争拡大、三国同盟、日米開戦、敗戦に至るまで。石原莞爾の生涯を通して昭和史が描かれています。軍の潮流に批判的な石原は予備役編入となる。しかし石原のような壮大な世界史のヴィジョンを持ち、それに基づいて戦略を立てる事ができた人物は、同時代の日本の政界・官界・軍部・学界のいずれにも存在しなかったと著者は主張する。石原の唱えた世界最終戦争論・永久平和・東亜連盟・都市解体論等、一人の軍人の枠に収まらない宗教家・思想家としてのスケールの大きさが感じられます。
2015/10/24
しんさん
この本はいい。とてもいい。最終戦争到来による永遠なる平和の実現、五族協和、都市の解体など壮大なビジョンを描いた石原莞爾の祈りと挫折。時代の制約による限界と、それを乗り越えるための孤独な戦いを描く。200冊近い参考文献から読み解かれた太平洋戦争、昭和という時代、世界の中の日本とは? ぜひ多くの人に読んでほしい一冊。
2012/10/29
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