昭和の悲劇 山下奉文 (文春文庫 ふ 12-7)
昭和の悲劇 山下奉文 (文春文庫 ふ 12-7) / 感想・レビュー
金吾
人情深さにおいても出世願望においても悲しいほどに日本の組織人という山下大将に対する総括は全く同意です。そして明治後半以降はその種の人たちが日本を支配しているように感じています。やや話が脱線したりしていますが、全体としては読みやすかったです。
2023/03/30
またべえ
山椒魚は大きくなりすぎたために住処から出られなくなりました。そんな短編小説を書いた井伏鱒二氏。氏が従軍していた際、山下奉文大将に叱られます。態度が良くなかったという理由で。それだけを聞くと規律に厳しい冷徹な軍人を思い浮かべますが、山下奉文大将は人間味のある、ちょっと皮肉屋な大将だったようです。只、そんな風に叱られた従軍記者がいたので、そういった人間像が宣伝されたようです。大将にまで昇進しましたが、陸軍内人事では常に前線に回され続けました。大きくなりすぎた陸軍のために山下大将も閉じ込められたのでありました。
2018/08/14
Willie the Wildcat
”マレーの虎”山下氏。その人柄を大戦の流れに沿って描く。当時首相にもなる可能性もある経歴であったが、その主義(皇道派)が影を落とした。この点、著者も主張するように意外。軍人の模範が必ずしも平時の人としての模範であるかは疑問がある。戦犯裁判前後における、主にアメリカ人知識者による山下氏擁護。戦時下の複雑さを物語る気がする。蛇足だが、他者の引用がここまで多い文献は初めてでした。
2012/03/10
手押し戦車
上下関係があるけれど人間関係も非常に重要で上司や先輩から上の立場から迫害で左遷とか受けることもある。だがその嫌がらせにもめげずに軍人としての規律と戦場での立派な成果を上げても、次の激戦で物資の届かないところに左遷され一日でも長く祖国の平和のために持久戦を展開して軍の規律をまもり最後に降伏した時に部下を祖国に無事に返すために最後まで職務を遂行し処刑される前に私はもし無罪だったら上司のために弁護をしてやろうと思ってました。上から迫害を受けてきたのに最後には恨みもなく純粋な心で本心をだせる真の優しさを学べた。
2014/04/06
マリリン
先月読んだ「殉死」ではわからなかった乃木希典の違った面が本書を読んで知ることができた。「マレーの虎」とは山下奉文の事もようやくわかった。本書では山下の事のみならず、当時の事が色々な角度から書かれている事。ニュース等もそうだが、物事には色々な考え方がありどこに着眼するかで内容はかなり相違が出てくる。事実を知るには色々な面から物事を見なければという事を実感した。
2017/08/28
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