金沢城嵐の間 (文春文庫 あ 32-2)
金沢城嵐の間 (文春文庫 あ 32-2) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
傑作短編集。これはお勧め。関ヶ原の戦い以降の武士の生き様を鮮やかに描いた作品が並んでいる。武士として生き辛い時代が始まっており、それでも自分の意地を通して凛と生きようとする者たち。逆境に屈しない彼らの生き方は胸を打つ。「金沢城嵐の間」は加賀前田家の重臣太田但馬守が主人公。彼は典型的な古風な武士で、戦場で全身全霊で戦うのを好む。しかし徳川家にすり寄って前田家の安泰を図ろうするする他の家臣の悪辣な企みの罠に落ちる。太田但馬守の最期は悲惨だ。それでも自分の義を貫き通した者の潔さがある。
2018/06/01
シン
関ヶ原の合戦後の江戸幕府黎明期の頃を時代背景とした短編集。いずれの作品も最後まで描ききらず、余韻を残す形を取っている。短編集ならではのテクニックですね。長編でそれをされると辛いものがあります。
2014/03/29
KTGR
六遍からなる関ヶ原後の武士達の各々の生き様を描いた作品。 どの話しも読みごたえあって熱い! 世の流れには逆らえずも義を押し通す武士達の生き様を上手く表現できてるなと思った。中でも『義によって』は特に良かった。ラストの十左衛門の選択は良い意味で裏切ってくれた!
2013/03/24
九鬼荒神
関が原の少し後、時代が変わりつつある時を描いている。「バサラ将軍」と同じく、最後まで描き切らないで、余韻を残すのが心地よい。しかし、直木賞取ってなかったらこの本も日の眼を見なかったかもと思うと・・・直木賞受賞良かったです(私にとって・・ね)。
2013/06/26
アニータ
「戦国」が色濃く残る時代、6編の短編の主人公それぞれにとって「侍とは何か」をテーマとした作品。濃密な時間がありました。
2021/09/24
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