侯爵サド (文春文庫 ふ 13-4)
侯爵サド (文春文庫 ふ 13-4) / 感想・レビュー
リッツ
サドの起こした事件の一つと彼を監視するマレー警部が主人公の本を読んだので、最後まで読み切ってなかったこの本を思い出して最初から読み直し。うーん!実はあの有名なサドの晩年が年老いて弛みきったただの変態に見え途中でほったらかしてあったのだけど、これはこれは一筋縄ではいかない展開と人物像。過去の犯罪を洗い直すに連れ浮き上がる生い立ちが人に与える影響、怪物が育つ背景と持って生まれた資質(血)、恐れ次第に傾倒し崩壊のあとの新しい目覚め…と周りをあらゆるかたちで巻き込み騒がせ、こちらも幻滅させられながらも夢中で読了。
2018/01/04
桐ヶ谷忍
サディストの語源であるサドは精神病院に入院しているが、彼の人間性に大いに惹かれ入院させ続けたい病院の理事長と、彼を犯罪者と見なす院長が査問会を開き、サド侯爵の行状を論争し、彼の身柄をどうするかという話。フィクションとしてはまあまあ。狂気が足りない。圧倒的に足りない。これではサドがただの可哀想な人、というだけの話になってしまっている。
2016/09/24
つきみ
性的描写も多いし、「マダム串刺し」の行動など気分が悪くなる描写もあるが、法廷サスペンス式に進むため読者を飽きさせない。果たしてサドは狂人か、悪人かを審議するのだが、クルミエの主張が興味深い。ラストの盛り上がりがまた面白い。
2012/05/18
雛子
最後のあれ!SもMも表裏一体、か。裁判の過程も面白かった。犯罪者は牢獄へと主張する精神病院の院長、犯罪者ではなく哀れな病人だから要看護だと主張する弁護人代わりの理事長、私は正常なんだと主張する老被告。どの立場になりきって読むかで、また違った感想が持てそう。
2011/06/28
餅
これは凄い。Sは詰まるところMに対する奉仕者なのだ。最後のどんでん返しの爽快さは凄まじい。
2010/02/24
感想・レビューをもっと見る