死神 (文春文庫 し 32-3)
死神 (文春文庫 し 32-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
8つの作品からなる連作短篇集。都内N市の社会福祉事務所に働く人たち(主に女性)と、その対象となる人たち(こちらも女性たち)との間に交錯するドラマを軽快なタッチで描き出してゆく。世間のマージナルな位置に落ち込んだ人生がいとも鮮やかに切り取られており、実に上手い小説だ。唯一例外的に両者が男性なのが表題作。福祉係長の名前が重松というのは意識してのことかどうかはわからないが、これはまるで重松清の世界。他の短篇群はもう少しクール。しかし、いずれの作品もそれぞれに暖かくもあり、働く女性たちの姿はなかなかに凛々しい。
2017/08/07
gonta19
購入詳細不明。おそらく17年ものの積読本。2016/7/13〜7/16タイトルから、篠田さん得意のホラー系ミステリを想像していたが、全然違った。福祉事務所で働くケースワーカー達の苦悩を描く連作短編集。こういう職場で働く人たちは、人間の暗部を否が応でも見なければならず、自身は相当メンタルが強くないとやっていられないんだろうなぁ。
2016/07/16
ちゃとら
『死神』あらすじを読まずに、勝手にオカルト系⁈と勘違いしていた。市のケースワーカーと生活保護受給者との短編8話。ケースワーカーそれぞれの個性も、受給者の背景も、しっかりと描かれていてサクッと読め面白かった。が、問題は大きい。この仕事についている人の大変さを始めて感じた。題名にもなっている『死神』は更生しきれなかった人の最後が切なすぎた。良い本でした。
2019/05/12
アーモンド
福祉事務所のケースワーカーが扱う事案の短編集。それぞれ、いろんな事情はあれど、何とも重い気分に。人生いろいろ、価値観もいろいろ。食うに困ってとにかく働く、という方向に思考が向かう人ばかりではないのだなぁ。ケースワーカーとは、たいへんな仕事だなと思った。
2015/12/16
kaizen@名古屋de朝活読書会
福祉事務所をめぐる事件の数々。 作者が勤務していたこともあるので、機密の漏洩にならないことに気をつかったとのこと。 なら書かなきゃいいのにと思いながらも読み進んだ。 それで何が言いたかったのだろう。 まだ分からない。解説:岡田幸四郎
2013/04/25
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