死都 ホーラ (文春文庫 し 32-10)
死都 ホーラ (文春文庫 し 32-10) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
解説にも著者ご本人の謝辞にも言及がないが、本書はコルンゴルトのオペラ『死の都』に着想を得て書かれたのではないだろうか。もっとも、オペラにはさらに原作があって、ローデンバックの『死都ブリュージュ』がそれである。作家はブリュージュを、日本人にとってはより一層エキゾティックで神秘性をも感じさせるギリシャ正教の世界においたのだろう。全体にオカルト風ではあるが、小説の本質は必ずしもそこにはなく、むしろ愛の不毛がこのような壮大なまでの背景のもとに語られている。物語に神秘を持ち込んだがために、主題がブレたともいえるが⇒
2017/09/28
Take@磨穿鉄靴
9月の終わりから読み始めて気が付いたらもうこんな時期に。10月はまだこの一冊のみ。マラソンシーズン始まってちょこちょことマラソン関連の書籍を読み散らかしてたとは言えそれにしても読書量が激減した一月ではあった。故障明けからそれなりにトレーニングは出来てきたのでその点も大きい。肝心のこの本の内容は…。お気に入りの篠田氏にしては今一つかな。ページを捲るのがあまり進まなかった。★★★☆☆
2019/10/29
エドワード
神や悪魔は存在するのだろうか。私たち日本人にとって、宗教の違いで大虐殺を起こす一神教の争いは理解しがたい。互いに配偶者がありながらギリシャの孤島まで旅に出た亜紀と聡史。交通事故で聡史が頭部挫傷を負う。島には邪気の渦巻く空間<ホーラ>があった。聡史は亜紀にヴァイオリンを贈った。それは70年前にこの島で生まれ、数奇な運命をたどったものだった。聡史の負傷は楽器の仕業なのか?二人を永遠に分かったのも呪いなのか?不倫、野心、才能?何とでも解釈しなさい。答えはない。信じる者は救われ、信じない者は救われない。
2015/01/03
Yun
不倫関係を続けるヴァイオリニストの亜紀とその相手の聡史。二人は、エーゲ海の小島を訪れるが、そこでかつての都「ホーラ」に迷い込んでしまう。不倫と神の罰と奇跡。ゴシックホラーと括られているが、ホラー色は余り強くない。終始暗い雰囲気の中で物語は進んでいく。何故だか不思議な感覚で先が気になり一気に読んでしまった。
2016/03/31
巨峰
地中海の浮かぶ名もなき小島を舞台にした不倫小説。相手の家庭を壊さぬように、深入りしないように長年付き合いを続けていた不倫相手からヨーロッパ旅行に誘われる40代の女性ヴァイオリニスト。その旅先で彼から贈られたヴァイオリンは、実は呪われたヴァイオリンだった。。。作者の想像で作られた地中海の小島の風物が興味深く、なかなか読ませる作品ではあるとおもった。
2011/08/06
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