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白仏 (文春文庫 つ 12-2)

白仏 (文春文庫 つ 12-2)

白仏 (文春文庫 つ 12-2)

作家
辻仁成
出版社
文藝春秋
発売日
2000-08-04
ISBN
9784167612023
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白仏 (文春文庫 つ 12-2) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

辻仁成の芥川賞受賞第一作でもあり、また1999年仏・フェミナ賞外国文学賞を日本人初受賞というので、期待して読んだが、それほどのものでもなかった…と思う。自分の祖父鉄砲屋今村豊をモデルとして、戦中・戦後を描いてはいるが、身内のせいかやや筆力が弱い気がする。亡き初恋の人「緒永久(おとわ)」とのくだりだけが妙にいきいきとして、切ない。フランス人が読んだ「白仏」は、そこに三島由紀夫の影響を読み取ったらしいが、私には読み取れなった。

2011/07/09

あつひめ

タイトルの白仏(はくぶつ)の姿をネットで確認。心にとどめて読み始めた。愛と生と死はすべて重なり合っている。この中のどれかだけを消すことはできない。生きれば人を愛したくなる。愛を失うと死にたくなる。生まれたらいつかは必ず死を迎える。生きるとは単調なようで実はとても難しいこと。辻さんの日々の言葉の奥底には愛・生・死が刻まれているような気がする。多くの死者の白い骨。一つ一つに本人の歴史だけでなく先祖から受け継いだ命も溶け込んでいる骨。死んだら無になる。改めて生きること死んでからのことを考えるきっかけとなった。

2021/07/30

しーふぉ

辻仁成の祖父がモデルの本作は仏のフェミナ賞受賞作。 人骨を墓から掘り起こして骨仏像を作ることに共感が出来い…

2014/11/08

イタリアンでこちん

究極の愛の物語・・・「生」と「死」誰もが避けて通れない二極をテーマに「運命と輪廻」をモチーフに、一途に唯ひたすらに一途に。明治、大正、昭和と激動の時代を背景に生き抜いた男の物語。えーちょっと苦手かも、だって、宗教色が強いんでしょ。・・いいえ、ご安心下さいな。よくある押し付けがましい嫌な宗教臭さは全くと言っていい程感じないと思いますよ。自己の儚さを根元にして過去、現在そして未来をも一つに繋ごうとする想い。その一途さが戦死、自殺、病死、溺死・・・目の前の色々な死。そして最後にやるべき事:一大事業を見出す。続く

2010/01/02

なむさん

九州も鉄砲も物語を彩る何もかもと縁がない読者の私がするする読めて(著者の作品によく出てくる方言はいつも難しいけど)「見てたの?体験談?」と錯覚するような描写力によって情景が浮かび主人公稔の生涯を追体験したかのような疲労感と衝撃と哲学的思想に陥れる作品でした。はー…大変だった…私のような家意識が薄い薄情寄りの人間には理解しがたい感情についても、稔の目を通すと正しい事と思えるし、毎回主人公が魅力的なのが辻作品が好きな理由だと気付きました。読了後余韻に浸りながら実在する大野島と白仏に思いを巡らすのも楽しかった。

2023/10/17

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