河岸の夕映え 神田堀八つ下がり (文春文庫 う 11-15)
河岸の夕映え 神田堀八つ下がり (文春文庫 う 11-15) / 感想・レビュー
じいじ
「おちゃっぴい」の続編として、6つの河岸をテーマに書かれた短編作品です。気持ちがほっこりする読了感が何ともいえません。宇江佐さんの江戸人情話は、いつ読んでも疲れた頭の中を癒してくれます。本作は、男と女の細やかな人情の機微にすぱっと切り込んだ作品で、しっとりとした味わいの読み心地です。大人の女の恋心が印象に残ります。〈あとがき〉で著者が、本作誕生の秘話を語っていて、今は亡き宇江佐さんの人となりを偲ばせる面白い内容です。
2017/06/09
ぶち
宇江佐さんの文章は、まわりくどくなく、サラッと流れていきます。でも、そこからは江戸の市井の人々の人情があふれてきます。そして、気持ちがホッとするような読後感です。前作『おちゃっぴい』の続編となっていますが、前作に続いて登場してくるのは2人だけです。その分、バラエティに富んだ短編集となっていて、満足度が高かったです。 一番のお気に入りの短編は『身は姫じゃ』。身分の違いなど気にすることもなく親身になって世話してしまう江戸庶民の心優しさに胸がジーンとしてきます。お別れの場面では、涙腺が崩壊しちゃいました。
2024/02/03
遥かなる想い
江戸の河岸に住む人々を描いた 抒情的な時代劇の短編集である。 どの短編も 心温まる江戸っ子の交流が 心に染みる。下町の江戸の言い回しが 懐かしい。何気ない出来事の 喜怒哀楽が込められた昔馴染みの 時代劇の短編集だった。
2023/06/03
ぶんこ
河岸をテーマにした短編6編。 伊勢蔵親分が出てきた「身は姫じゃ」では、(はやこ姫)が龍吉に気にかけてもらって、伊勢蔵親分の家に世話になる事ができた事、本当によかった。 もし、気にかけてもらってなかったらと思うと、幼い姫の行く末がどうなっていたことか。 宇江佐さん江戸人情物は、いつ読んでも素晴らしい。 あとがきを読むと、尚の事著者のお人柄が伝わってきて、胸にジ〜ンときます。 「浮かれ節」の三土路さんの子供達が(ギュッとして)と父親に言う場面では、ほのぼのとしているのに涙ぐんでしまいました。 いい親子だな。
2015/11/21
shizuka
『おちゃっぴい』の後日談ってことで、北斎やお栄がまた出て来るかなって楽しみに読んだんだけど、出てこなかった。そこだけちょっと残念だった。宇江佐さんのお話はまわりくどくなく、さくっとしている。読後感はほっこり。こういう短編集はいつでも気兼ねなく読めるので好き。とあるお公家のお姫さんを保護し、お世話するはめになった『身は姫じゃ」が一番好みだったかな。今よりずっと「生きる場所」の違いがはっきりしていた江戸時代。本来町人が公家と交わることなんてないんだよね。でも人と人との情は一緒だ。別れのシーンにはもらい泣き。
2016/10/16
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