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天使 (文春文庫 さ 32-3)

天使 (文春文庫 さ 32-3)

天使 (文春文庫 さ 32-3)

作家
佐藤亜紀
出版社
文藝春秋
発売日
2005-01-07
ISBN
9784167647032
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天使 (文春文庫 さ 32-3) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

第1次大戦前夜から末期まで、すなわちオーストリア・ハンガリー帝国の崩壊期。一貫して、ほの暗いムードの中に物語は推移する。この時期のヨーロッパの全体像はおろか、オーストリア、あるいは1戦線の帰趨さえ定かではない。それは、物語の主人公ジェルジュにとってそうであるばかりではなく、読者たる私たちも同様である。作家自身も、ことさらに時代背景を説明しようとはしない。それは、主人公たちに他者の思惟や感覚を読みとるといった特殊な能力を付与しつつ、感情表現を極力抑える技法でもあった。リアリティの在り処が根底から違うのだ。

2014/03/07

zirou1984

「堕天使たちのサイキック・ウォーズ」だなんて最強に中二病溢れる煽り文句なのに、内容は最高に文学的快楽に溢れてるのだからたまらない。ヨーロッパの火薬庫と化した第一次世界大戦前夜のオーストリア帝国。その不穏な政情の陰で暗躍する、五感を超えた「感覚」を操る諜報員たち―そんな涎の垂れんばかりの設定を優れた知性と文章力によって調理した本作は、野生児にて高貴たる主人公・ジョルジュの様な二面性を持ち備える。それは娯楽的でありながら文学的であり、教養的でありながらもうキュン死するんじゃないかってくらいにカッコいいのだ。

2016/04/06

眠る山猫屋

丁寧に読みたい一冊。第一次世界大戦前夜の欧州を舞台に、特殊な能力〈感覚〉を持った子供が拾われ、否応なしにエスピオナージュの世界へ踏み込んでゆく物語。心を覗き、書き換え、破壊し得る能力。主人公ジョルジュは、オーストリアの間諜として働き、世界と向き合ってゆく。自分の出生の秘密や恋にさえ冷静なジョルジュも、実は感情を学んでいる途中なだけ。感情に振り回されないよう制約をかけているだけ。そんなジョルジュの痛々しい成長の物語。それにしても大戦前夜のヨーロッパの陰鬱な雰囲気に飲み込まれてしまった。

2011/11/27

毒兎真暗ミサ【副長】

【頭脳】のみが持たされた全て。主人公ジェルジュは網の目を縫う蝶のように第一次世界大戦時の混乱期を生き抜く。これはコンゲームとも違った新しいジャンルのブレイン・ゲーム。相手の頭を【読む】という行為で駆け引きをし追い詰めていくが、作中にその具体的な説明は一切なし!なので読者は著者の頭を【読み】ながら読むしかない。その角度は様々アラカルト。フェイク、スライダー、スピンをかけた攻防戦。この苦戦が快感に変わったなら間違いなくこのゲームにハマった証拠。初体験のように掻きむしられるよ!どこを?勿論あなたのアタマの中を。

2024/06/10

jahmatsu

佐藤亜紀お初。設定がイマイチ見えない中、どうも自分には入り込めず。綺麗すぎるというか常に満腹な感じが。文体もだが妙に疲れた。無念。

2020/03/04

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