赤ちゃんは殺されたのか (文春文庫 フ 20-1)
赤ちゃんは殺されたのか (文春文庫 フ 20-1) / 感想・レビュー
釈聴音
白眉というべきはホラー小説さえ連想させる第2部。破滅への道を知らず知らずに歩んで行く夫婦、積み重なる子供たちの死体、それを冷ややかに、怒りすら込めてじっと見つめる狂気の目…。どこをとっても比類なき恐怖小説のようであるが、これは実話なのである。母親に振り回された挙げ句、ありもしない「理論」を作り出してしまった医師の、事実と直面した時の戸惑いは、懐疑的精神を失った人間がいかに滑稽かを如実に示している。
2012/06/11
ワイルドストロベリー
事実は小説より奇なり。とはよく言うが、にわかに信じがたい事ばかりで、ショックを受けた。5人の赤ちゃんが死んで行くのを疑いを持たない夫や、論文の成功のため看護師から指摘されても躊躇なく、恐ろしい状況が眼に見えていながらくい止めようとしない医師。良心の呵責から老けこんだ容姿になったかとはじめは思ったけれど、周りの同情をかうために外見さえもかわっていったのだと感じた。こんなことが本当に起こるなんて…人間て怖い。
2012/05/12
だん
前知識なしで読み始めたため、最初はどういう方向に話が進んでいくのか分かりにくかった。解説を先に読んだほうがいいと感じた。SIDSについては全く知らなかったけれど、医者と母親の利害が一致し間違ったセオリーが広まっていく様は、他の研究でも起こり得るだろうし、実際に起こっている分野もあるのではないだろうかとゾッとした。
2010/02/09
感想・レビューをもっと見る