キャパ その死 (文春文庫)
キャパ その死 (文春文庫) / 感想・レビュー
Toshi
リチャード・ウィーラン著、沢木耕太郎訳によるキャパ評伝の第3巻は、キャパの戦場写真家としての地位を揺るぎないものにするD-Dayから始まる。戦後は、女優イングリッド・バーグマンとの恋や、著名作家との取材旅行など、セレブぶりを発揮するが、その作品は戦場から離れるともに輝きを失って行く。そして日本に滞在中「ライフ誌」の依頼で急遽ヴェトナムに向うこととなり、そこで地雷に触れて命を落とす。実際の人生も、自ら作りだした虚像も、波瀾万丈だったキャパの生涯。沢木はそれを「冒険」と言うキーワードで語っている。
2021/03/07
tora
ノルマンディー上陸作戦をとってから、インドシナで死ぬまでの約10年。30代をえがいているにも関わらず、どこか「晩年」という雰囲気がただよいます。あるいはそれは、17歳で亡命し早熟するしかなかっただろう彼の必然だったのかもしれないと思いました。訳者が最後に、キャパの悲劇性が戦場でしか「傑作」をとれなかった事、としていますが、それに加えて「早熟」もまた彼を不幸にしたのではないかと、思いました。写真集がほしくなりました。
2012/04/27
ichiro-k
斜め読み、飛ばし読みで読了。正直といえば正直な伝記だが下品。同じ表現方法で書評すると「この本は、まるで出勤途上で犬のウンチを踏んだような気分だ。」
2010/04/09
Mariamaniatica
ゲルダと二人、売るために考え出した「ロバート・キャパ」というイメージに近づくため、またそれを超えるために生きた人生のように思えます。 帰る国がないということは、彼が結婚という形式に踏み切れなかったことに大きく影響を与えているのかも。 アイデンティティーをどこにおくか、またそのアイデンティティーもたやすくなくしてしまうものであることが、意識下にあったように思えます。 「ティファニーで朝食」をのホリーと重なってしまった。 キャパとその彼を囲む人々、原作者、そして沢木耕太郎さん、いずれの仕事も魅力的ですばらしく
2012/05/24
チョイローモンゴル
パリのドイツ軍からの解放時やイスラエル建国時の雰囲気が本当によく伝わりました。しかしこの人はイングリットバーグマンと付き合ったりとかヘミングウェイと絡んだりとかからも分かるけど人格的な魅力たっぷりです。
2012/03/03
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