周公旦 (文春文庫 さ 34-2)
周公旦 (文春文庫 さ 34-2) / 感想・レビュー
ehirano1
「墨攻」や「御宮小説」のように胸激しく躍ることはなく、総じて淡々と話が進みますが、「なぜ周公旦は敵対国の楚に逃げたのか?」が経日とともに明かされていくにつれて、なんだかある種の学術論文を読んでいるようで胸躍りました。当時の中国大陸が北方と南方ではまるで相反する文化の記述に驚きながら、周公旦がそれを排除するのではなく受け入れていく姿には、カエサルの「寛容」が思い浮かびました。
2023/12/04
KAZOO
宮城谷さんの太公望にも出てくる周公旦についてについて酒見さんが書かれているのでついでに読みました。この人物は周の王族でありながら、権力欲は見せずに一歩下がった立場で周を守ったということなのでしょう。彼がいなかったらあるいは太公望や他の人物に周を盗られてしまったかもしれないというのが酒見さんの書かれているこの人物像です。礼ということではかなり孔子がもちあげています。
2015/05/19
射手座の天使あきちゃん
中国、悠久の歴史の中で周の建国(紀元前1046年頃)と発展の礎を築いた男 礼節と深謀遠慮の人として知られる周公丹の素顔に迫る歴史小説、面白かったぁ! と言いえたら良かったんでしょうが・・・ 正直、読書経験値と前提知識不足 どなたか中国歴史小説の面白い入門書教えてくださいませ(笑) m(_ _)m
2012/01/09
フミ
「子産」に続けての古代中国モノで、酒見先生、初読みでした。「殷の紂王」を倒した「周の武王の弟」が主役なのですが、とても文化的な人で、武王の補佐、そして亡くなった後の、王を後見しての統治が、大変そうに描かれています。日本の戦国だと「小早川隆景」的なイメージでしょうか。対して、第1の功臣「太公望」が、中盤辺りまで「徳川家康」を思わせる食わせ物ぶりに描かれていて、真実はともかく、面白い描かれ方でした。そして、後半に入ってからの「ジャングル探検モノ」を思わせる展開~最後のまとめと、とても満足できる1冊でした。
2022/08/17
兵士O
酒見さんのデビュー作「後宮小説」では、高橋源一郎さんの「重力から逃れてあることの軽さ」との評がありましたが、それはいわば、有限の寿命と才能と個性の中でいかにその人が人生という舞台で立ち回れるか、という風に僕は解釈しています。この小説の舞台の中で、主人公の周公旦という人物は大きな殷から周という歴史的な転換点で、ある意味酒見さんの分身のような形で周という国を背負います。若干、インテリ系に偏っているような彼の活躍ですが、楚の国の説得の所など、洗練された呪術の過程は読み応えがありました。ただ、もっと適当な話希望。
2019/07/26
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